店主インタビュー

【Japan Best Ramen Awards 第4位】『町田汁場しおらーめん進化』関口店主「Japan Best Ramen Awards」SPインタビュー


「ラーメン店主が選ぶ本当においしいラーメン」をコンセプトに開催した『Japan Best Ramen Awards』。今回は、見事に第4位に輝いた『町田汁場しおらーめん進化』の関口 信太郎店主にスペシャルインタビューを実施。関口店主が愛するしおらーめんへの考え方、店舗を構える町田への想いなど、普段は語られることのない貴重なお話をたくさん語っていただきました。

2022年06月06日 更新
【Japan Best Ramen Awards 第4位】『町田汁場しおらーめん進化』関口店主「Japan Best Ramen Awards」SPインタビュー - サムネイル
第11回お取り寄せラーメンオブ・ザ・イヤーバナー

自分たちに出来ることは美味しいラーメンを届けること


ー今年から開催した「Japan Best Ramen Awards」にて見事第4位を獲得されました。
こちらの賞のコンセプトが「ラーメン店主が選ぶ本当に美味しいラーメン店」というもので、「町田汁場しおらーめん進化」の名前を挙げる店主さんが多く、この度見事4位に輝きました。
まずは率直な感想を教えてください。

率直にありがたいですし、嬉しいですね。
同業であり、同じ「ラーメン」を作っている方々から選んでいただけたということは励みになりますし、非常に光栄なことです。


ー2021年は前年から続く新型コロナウイルスの影響もあり思うように行かないことが多々あったのではと思います。
2021年という1年間を振り返るとどんな1年でしたか?

やっぱり毎日が試行錯誤の繰り返しでしたね。
自分自身もそうでしたけど、外食したいなと思ってもそれすら控えないとという気持ちがどこかで生まれるといった世間の風潮でしたからね。



そういった流れの中でお店としてできることは何かないかと考えた時、やっぱり自分たちで美味しいラーメンを作ってそれをお客様に届けるということが今ある中で最大限やれることだと思うんですよね。
そのためにも、通販やテイクアウトなどもやっています。

通販やテイクアウトで購入されたお客様のレビューなどを見たり、実際に聞いたりすると、やっぱりやってきて良かったなと思うと同時にこれからも頑張りたいなという気持ちが湧いてきますね。


ー非常に頭が下がる思いです...
今、通販の話が挙がりました。
進化さんはコロナ禍になるよりずっと前から宅麺.comで販売をしていますが、始めるにあたって抵抗などはありませんでしたか?

最初はやっぱり不安なことが多かったですよ。
冷凍のノウハウなんてもちろんないですし、お店のラーメンをそのまま凍らせる訳にはいかないですからね。



お店の味により近づけるために味を調整したりと、試作も何度もしました。
ただ、それだけ熱心に宅麺さんにも関わっていただいたので、こっちも頑張ろうという気持ちで始めましたね。


自分が好きだからこそたくさんの人に食べてもらいたい


ーしおらーめん専門という形でお店は営業されています。
しおらーめん専門で始められたきっかけなどもぜひ教えてください。

なんでかと聞かれると、やっぱり自分自身がしおらーめんが好きだからですね。
僕は好きなことを仕事にしたかったんですよね。

お店を始めた時も醤油や味噌を専門にやっているお店はありましたけど、塩を専門にやっているお店は少なかったですからね。
例えば、ラーメン屋さんへ行って、醤油と塩2種類のメニューがあったとしたら、醤油を頼む方が多数派になるという時代でしたからね。



そうなると僕の目標は、まずお店に来てもらって塩を食べて知ってもらうということだったんですね。
塩しかなければ塩を頼むしかないので、そういったことも相まってしおらーめん専門店になりました。
ただ、最初の頃は苦労もありましたね...(苦笑)


ー具体的にはどういった苦労があったのでしょうか...?

醤油ラーメンがないから帰るというお客様が結構いらっしゃいましたね。
僕自身は塩が大好きなんですけど、醤油や味噌と比較するとどうしてもインパクトが弱いというイメージをもたれてしまうようでした。

なので、醤油ラーメンがないから帰るという方や、お客様からも「醤油を始めてみては?」と提案をいただいたこともあります。
それでも「しおらーめん専門」を貫いていこうと思いましたね。


ーしおらーめんを貫き通そうと?

僕の場合は自分が納得した一杯を提供して、その一杯を目当てにお客様が来てくれたら、それが一番嬉しいし、やりがいを感じます。



自分が納得した一杯を提供して、それでお客様が来てくださらなくなるのであれば、僕は辞めようと考えていますからね。
その部分は曲げずにやっていきたいです。


信念なのか商売なのか


ー先ほどのお話で「しおらーめん」への想いをたくさん語っていただきました。
オープンから町田でお店を構え続け、お店の屋号にも入っていますが、関口さんの町田に対する想いもお聞かせください。

僕自身、高校の時から町田の方で暮らしていて、第二の地元のような感覚なんですね。
なので、自分でお店をやるとなったら町田でやりたいというのは考えていましたし、魅力的な場所ですからね。
この町田という街をラーメンで盛り上げていきたいという気持ちはずっとあります。


ーあえて駅前ではなく、駅から少し離れた場所を選ばれた理由も教えてください。

これは、オープンした頃、まだ自分が若かったというのもあります。(笑)



やっぱり塩専門で、命懸けてやっているという気持ちがありましたからね。
正直な話、ふらっとお店に来られて何か言われるのも嫌だなという思いはありました。
だからこそ、うちのラーメンを求めて来てくれる場所に出したかったというのが一番大きかったですね。

今考えれば商売勘はないですよね。(笑)
それでも、最初のうちは自分を試して、お客様に認めていただけるようになったら次のステップを踏んでいければいいなということを当時は考えていました。

今では町田駅前にもお店を出店していますし、少しずつステップアップ出来ているかなと思っています。


自分を奮い立たせてくれたラーメンという存在


ーしおらーめんに対する愛や信念などを先ほどの話からヒシヒシと感じました。
ラーメン店主という職業を歩まれるきっかけとなった出来事や経緯など教えてください。

僕自身、音楽が好きで若い頃はバンドをやっていました。
バンドをやりながら、ラーメン屋でアルバイトをするという日々でしたね。

当時からラーメンは1つのことを突き詰めるためにはこれ以上にない存在と思っていましたし、あらゆる味の中でも「しおらーめん」というジャンルに惹かれている自分がいました。



ただ時が経つ中で、バンド活動が中々自分の思うようにいかなくなってしまったんですね。
そんなこともあって、バンドではなくラーメン一本に絞って頑張ろうという気持ちになりました。
不思議とラーメンが自分を奮い立たせてくれていたんですよね。

そういった経緯や自分自身が塩というジャンルに興味があったので、せたが屋の二毛作店である「ひるがお」に入りました。


ーラーメン業界に入られた当初から「しおらーめん」と決めていらっしゃったんですね。

そうですね。
当時はかなり珍しかった塩ラーメン専門店「ぜんや」さんであったり、あとは「支那そばや」さんの塩ラーメンを食べて非常に感動したことが、塩というジャンルに興味を持つきっかけでしたね。
「塩」が作り出す、奥深さや魅力にどんどん取り憑かれていきました。

それと、あるラーメンとの出会いが大きかったですね。


ーあるラーメンとは...?

今は大阪にありますが、当時は町田にあった「ラァメン家69’N’ ROOL ONE(ロックンロールワン)」さんですね。(現在の店名は「ロックンビリーS1」)



ここの醤油ラーメンを食べた時は、僕の中から醤油ラーメンをやるという選択肢はなくなりましたね。(笑)
それほどの衝撃がありましたし、醤油ならロックンロールワン、塩なら進化と言われるように頑張ろうという気持ちもありました。

店主の嶋崎さんからも「町田で早くやりなよ。」と後押しを受けて、僕自身予定より早くお店を始めたというのもありますからね。
そういった意味では、印象に残るラーメンはやっぱりロックンロールワンさんです。


“見せる”ではなく“魅せる”味作り


ーそれではここでお店で提供されているラーメンのこだわりなど教えていただけますか?

そうですね。
特段これといったこだわりはありません。



うちで提供しているラーメンはこの食材が売りでというのは特になくて、食材1つ1つのバランスを保ち、食材の良さを最大限引き出してあげるということを目指していますからね。
そういった意味で、うちのお店の売りは食材1つ1つの良さを最大限活かしたラーメンというところかもしれません。

昔はこだわりを無理にでも引っ張り出そうとしてたんですよ。
でもよくよく考えたら、無理に引き出す必要なんてないなって。
だから、今は何かにこだわっているとかは特にないですね。


ーそこまで考えられて一杯一杯を作られていると思うと感無量です。
食材1つ1つへの考え方が非常に奥深いなと感じました。

味は変えませんが、食材は変えたりというのはよくしますね。
それも僕やスタッフはわかってるけど、お客様にはバレちゃいけないんです。



だって、この食材変えましたって言ったら条件反射的に美味しいって言っちゃうと思うんですよ。
僕もその気持ちは非常にわかりますし、わかるからこそ、それが本質的ではないことは明白ですからね。

あえて食材を変えたということは公表せず、最近さらに美味しくなったねって言ってもらえると、見えない部分を評価してもらえたんだなと嬉しくなりますし、自信にも繋がりますからね。


悔いのない最大限の一杯を追い求めて


ーではここで少し変わった視点の質問をさせていただきます。
もし関口さんがこれから職業を選択される立場に戻ったとしたら、もう一度ラーメンの道を歩み、ラーメン店主になられますか?

今戻れるとしたらですよね?
それだったら、もうやらないですね。
ラーメンの道をもう一度歩むと言って欲しいのかもしれないですけど、僕は違うことをやると思いますね。(笑)



極論、もう飲食はやらないと思います。
大変だからとかそういったことは全くなくて、今も一生懸命やっているのでもうやらなくてもいいかなと思うんですよね。

今でも飲食以外の道を歩んでみたいという気持ちはありますし、ただそれはもうしないと決めているからこそ、飲食以外の職業ってどうなんだろうという興味はありますよね。


ー真っ直ぐに今のラーメン店主という職業に向き合われているんだなということを感じました。
それでは最後に、今後のお店として、もしくは関口さんご自身の目標や展望を教えてください。

時が経っていくと同時に、常に美味しいラーメンを作りたいという気持ちが大きくなっていきますからね。
その時々で自分の中で最上級に美味しい「しおらーめん」を作れるお店にしていきたいですね。



オープンした当時も「しおらーめん専門」というスタイルを受け入れてもらうことが難しかったこともありますし、だからこそ自分が美味しいと思う味を求めてきてくださるのは本当に嬉しいことです。
先ほども言ったことになりますが、「自分の中で最上級に美味しいしおらーめん」には常にこだわってこれからもお店を続けていきたいです。


ー関口さんの真っ直ぐな人柄や真っ直ぐな「しおらーめん」を求めて、これからもたくさんの方がお店に足を運ぶことと思います!
関口さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!


・プロフィール


関口 信太郎 店主

せたが屋グループ「ひるがお」で修行し新宿御苑店の店長などを務めた後、「町田汁場しおらーめん進化」を開業。
今や「塩ラーメンと言えば進化」と言われるほど、ファンのみならず同業の店主からも一目置かれる存在である。

第11回お取り寄せラーメンオブ・ザ・イヤーバナー