元料理人で現コンサルなラヲタ

40代/男性

・仏伊中印料理の元シェフで、現在はコンサルティングに携わっています。
・宅麺は主に製麺・スープ開発の参考用に利用しています。
・麺の加水率やスープの甘い、塩っぱい、辛い等は主観ではなく、全て検査器により数値化した絶対値及び相対値を元にコメントしています。答え合わせのご参考に。
・味覚検定チョコEASY・NORMAL・HARD全問正解(全問正解率1%)
・ラヲタ歴35年以上、春木屋・丸長・土佐っ子の味で育ち、家系直系・二郎直系・東池袋大勝軒直系は何周もしている元ガチ勢です。
・麺が解れない原因は強く固めているからではなく、打ち粉が少ないか、配送時の結露による麺表面の糊化が考えられます。菜箸で何度も触れるのは麺に傷が付きデンプンが出て逆効果なので、コツとしては思い切って麺を取り出し、水分をキッチンペーパーで吸わせてレンチンし、軽く解して茹で直すと解決出来る場合があります。

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2023年11月07日

スープは河豚アラのふくよかな旨味とゼラチン質の溶け込んだ、まろやかな淡麗白醤油仕立。
日本酒のほんのりとした甘味もあり味わいは穏やかですが、
そこに開き松茸の優美な香りと真河豚の身から徐々に溶け出す力強い旨味が加わり、
また敢えて濁りを出した事でふぐちりとも異なる、ラーメン然とした旨味の整い方を見せています。

麺はくろ㐂スタンダードの平打中太手揉み麺。麺自体の旨味風味に加え、モチプリの弾力と、
ツルツルとした官能的な舌触りが、まったりとした河豚出汁とも絶妙な相性を見せています。

松茸は冷凍なので食感は損なわれていますが、細胞壁が破壊される事で旨味成分のグアニル酸は存分に溶け出しており、
また開きなので香りが強く、噛むほどに鼻腔と口内を松茸の風味で満たしてくれます。

真河豚は大きな塊が3つゴロゴロと入れられていますが、
湯煎中に丁度良く熱が通るよう仕込まれており、冷凍段階ではギリギリの低温加熱が施されています。
要するに購入者が指定時間通りに湯煎する事で初めて完成するような仕組みになっていて、
河豚の身がふっくらと、また旨味も詰まったフレッシュな状態で食べられるように綿密に計算されています。
冷凍通販のデメリットを逆手に取った、カスタマーファーストな労力とテクニックです。
真河豚の身は噛めば噛むほど甘味と旨味が溢れ出るので、じっくり噛んで余す事なく味わいましょう。

美味しいという答えを導き出す道筋の中に、料理人ならではの繊細な技術と、
旨味を数値化したロジックが化学的に構築されているのが解ると思いますが、
それらの全てはラーメン一杯の中に真心を込めた、黒木さん流の饗しの表現なのだと思います。

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