元料理人で現コンサルなラヲタ

40代/男性

・仏伊中印料理の元シェフで、現在はコンサルティングに携わっています。
・宅麺は主に製麺・スープ開発の参考用に利用しています。
・麺の加水率やスープの甘い、塩っぱい、辛い等は主観ではなく、全て検査器により数値化した絶対値及び相対値を元にコメントしています。答え合わせのご参考に。
・味覚検定チョコEASY・NORMAL・HARD全問正解(全問正解率1%)
・ラヲタ歴35年以上、春木屋・丸長・土佐っ子の味で育ち、家系直系・二郎直系・東池袋大勝軒直系は何周もしている元ガチ勢です。
・麺が解れない原因は強く固めているからではなく、打ち粉が少ないか、配送時の結露による麺表面の糊化が考えられます。菜箸で何度も触れるのは麺に傷が付きデンプンが出て逆効果なので、コツとしては思い切って麺を取り出し、水分をキッチンペーパーで吸わせてレンチンし、軽く解して茹で直すと解決出来る場合があります。

  • レビュー数 500
  • 役に立った数 190

2023年12月13日

本品は麺、塩ダレ、香味油、あん肝ペースト、フライドオニオン、チャーシュー、
メンマ、割りスープと、多数の食材が別々にポーション分けされています。
本来ならこれらを最初から全て混ぜ合わせて頂くのですが、私は食材の1つ1つの味を見ているので、
まぜそば系を頂く時は最初にタレと油だけを麺に和え、そこにその他をトッピングし、
1つ1つ味を足していく事により、最終形に行き着く迄の味の変化を順々に味わうスタイルを取っています。
 
まず塩ダレは昆布の風味と旨みが強く出た、キリッと力強い塩味が特徴的。
香味油は煮干を低温で揚げ、油に風味を移したものを粗く濾してあり、粒感を残して香りを立たせてあります。
 
麺はスクエア型の角刃中細ストレート。
一条流がんこと覆麺ではお馴染みのサッポロめんフーズですが、
説明文にはサッポロ製麺と誤記されているので、訂正したほうがよいと思います。
特龍麺という熟成多加水麺で、コシが非常に強く、
がんこ系の塩辛い味付けと抜群の相性をみせています。
 
まずはこの麺に塩ダレと香味油だけを和えて頂くと、らしさを感じさせるショッパーなキレと煮干の風味とパワフルな旨味の一撃にガツンとやられます。
 
次にあん肝ペーストを混ぜ合わせると、そこにコクと甘みと特有の風味が加わり、まったりと深い味わいに変化します。
ただ説明文にあん肝の苦味を感じさせないとありますが、あん肝自体に苦味成分はそもそも含まれていないので、臭みの事ですかね?
 
更に生卵を混ぜると塩味のカドが取れてまろやかになり、今度は全体的に円みのある味に移り変わります。
ただ卵白は料理の温度を下げ味も薄めるので、あん肝の濃厚な味と熱々の状態を保ちたい場合は卵黄のみにしておくとよいです。
 
フライドオニオンはカリカリとした食感と香ばしさを、
メンマは濃口の旨味と仄かな魚介の風味がまろやかな味わいの中にアクセントを与えてくれます。
チャーシューは大判の肩ロースが1枚。下味充分で厚みも弾力もあり、食べ応えは充分。
他に追加するなら海苔がメチャクチャ合います。麺に巻いて食べたら軽く飛びました(笑)
 
麺が残り少なくなったら、熱々の割りスープに移し、大さじ一杯ほど残してあったあん肝をトッピングして、あん肝ラーメンにスタイルチェンジ。
割りスープは根菜のみで取った穏やかな甘みの野菜出汁で、麺に纏われた塩ダレが溶け合う事で、
あん肝の深いコクがありながら淡く優しい味わいの、濃厚淡麗スープへと最終変化を遂げます。
個人的にはこのラーメンスタイルが一番好きでした。これだけで一杯分頂きたいです(笑)
 
また麺皿に残ったあん肝に白飯を半膳ほど加え、割りスープ少々と、お好みでポン酢を数滴垂らして混ぜれば、〆のあん肝リゾットの完成です。
 
このように食べ進むにつれ何段階も味が変化してゆくまぜそばとなっており、
原価的には外国産のあん肝をこの量で2,300円はECでもチト高いかなと思いましたが、
これだけの味変が楽しめて、〆の米までいくと2人分以上のボリュームとなるので、
そこまでを考慮するとコスパはとても高いんじゃないかなと思います。

21