元料理人で現コンサルなラヲタ

40代/男性

・仏伊中印料理の元シェフで、現在はコンサルティングに携わっています
・宅麺は主に製麺・スープ開発の参考用に利用しています
・麺の加水率やスープの甘い、塩っぱい、辛い等は主観ではなく、全て検査器により数値化した絶対値及び相対値を元にコメントしています。答え合わせのご参考に
・味覚検定チョコEASY・NORMAL・HARD全問正解(全問正解率1%)
・ラヲタ歴35年以上、春木屋・丸長・土佐っ子の味で育ち、家系直系・二郎直系・東池袋大勝軒直系は何周もしている元ガチ勢です
・プラチナ会員ですが抽選販売はクジ運悪く大抵先着販売で買っています
・店主へのリスペクトと、同じ飲食に携わる者として、プロの作った作品に点数など付けられないという理由で、星は基本的に全部5にしています

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2025年08月27日

スープはクリアに澄んだ淡麗塩清湯。牛骨とアサリを別々に炊いたWスープ方式で、沸かさずじっくり火入れした濁りのない透明感が特徴的。
アサリから出るコハク酸の強い旨味と牛のリッチな風味が入り組んでおり、ややオイリーなヘットとモンゴル岩塩のスッキリとした塩味が、あっさりとした味わいの中にパンチとキレを与えています。
 
麺はスクエア型の角刃細ストレート。啜り心地の良い長尺のカットで、麺肌はしっとり瑞々しく、しなやかでモチプリの強いコシも持ち合わせています。
 
つけ麺にしては珍しい細麺、と番組内でコメントされていましたが、全国的に見ると淡麗系のつけ麺は細麺もスタンダード化しています。
 
大勝軒やつけ麺大王に始まり、頑者、TETSU、六厘舎などの影響から、つけ麺=太麺というイメージが広まった感もありますが、太麺よりも細ストレート麺のほうが箸で持ち上げる本数が多い分、束になってスープと絡む為、
粘度の高い濃厚系にはスープを拾いすぎず負けない太麺を、粘度の低い淡麗系にはスープをしっかり拾い香りを立てる細麺、若しくは平打縮れ麺を合わせる店が増えています。
 
そして細麺は絡まりやすい為、その解消法として生み出されたのが、私の尊敬するロックンスリー(2025年9月ラ博出店予定)の嶋崎さんが69’N’ROLL ONE時代に考案し、今やどのラーメン店も取り入れている昆布水だったりします。
 
付属トッピングはアサリの剥き身と豚バラロールチャーシューの薄スライスが2枚。
アサリは粗挽きのブラックペッパーが和えられており、スープの味を引き締める味変アイテムとなりますが、剥き身自体は水分も旨味も抜けてスカスカの出汁ガラ状態となっています。
 
本品は実店舗製ではなく店主監修のレプリカ商品となっており、お店そのままの味という意味では多少の違和感が残るものの、美味しさの面では十分期待出来ると思います。
 
ただやはりトッピングについては今からでも再度見直したほうがよいかもしれません。
特にチャーシューは再現度が低く、遊にも同じ汎用品が使われている上、どちらのスープともミスマッチです。
 
一方、リーフレットには湯煎の水量や麺の茹で方、扱い方に至るまで、一連の作り方が分かりやすく丁寧に記載されており、
冷凍ラーメンを作り慣れていない方にも親切なマニュアルになっていると思います。
 
SUNGOのつけ麺は当然フルマークなのですが、こちらはグルメエックスへの評価としています。

14

2025年08月27日

スープは煮干をガツンと効かせたニボニボではなく、苦味やエグミは抑えられており、中才煮干の風味のみを上品に立たせつつも動物と魚介類もバランス良く組み立てた、濁りのないあっさりとした醤油ニボ清湯。
細かい豚背脂粒も浮かべられていますが、コッテリとはしておらず、煮干のクセをコーティングし、甘味を加える役割を担っています。
またカエシからは醤油のコクが感じられつつ、甘味と旨味も強めに添加されています。
 
ちなみに遊の基本メニューは煮干そばや肉煮干、濃厚煮干そばなどですが、伊藤系の煮干そばに関しては、弟さんのお店である自家製麺伊藤@赤羽が宅麺内でも販売されています。
 
麺は角刃平打太縮れタイプ。
瑞々しい麺肌とツルピロの舌触りにゴワモチの弾力性がスープとマッチしており、特に背脂との絡みは秀逸です。
 
付属トッピングは豚バラロールチャーシューの薄スライスが2枚。
軟らかく煮込まれていますがスープとはミスマッチで、パサつきがありボロボロと崩れ、味も食感も遊のチャーシューとは全くの別物です。
なおモヤシは多く乗せるとスープを薄めてしまう為、一掴み程度の少量に留めたほうがよいです。茹で時間も10秒くらいの早茹でがスープを薄めず最後までシャキシャキ食感を保てます。
 
本品は実店舗製ではなく店主監修のレプリカ商品となっており、お店そのままの味という意味では多少の違和感が残るものの、美味しさの面では十分期待出来ると思います。
 
ただやはりトッピングについては今からでも再度見直す必要があると思います。チャーシューは同一工場で一括生産された汎用品を遊にもSUNGOにも使っているため、どちらのスープとも合っておらず、何より「お店そのままの味」というコンセプトからも外れています。
 
チャーシューはスープと別工場の生産になるので、例えばスープで炊いた上に継ぎ足しのカエシに漬け込むような煮豚タイプや、食品工場の衛生管理上で工数の多い低温調理タイプになると実店舗の再現は中々難しいと思いますが、
ピンチのラーメン店を救え、という企画なのであれば、実店舗の本当の美味しさを全国に正しく知ってもらう為にも、こういう部分も含め細部まで徹底して再現に努めるべきだと思います。
 
一方、リーフレットには湯煎の水量や麺の茹で方、扱い方に至るまで、一連の作り方が分かりやすく丁寧に記載されており、
冷凍ラーメンを作り慣れていない方にも親切なマニュアルになっていると思います。
 
遊のラーメンは当然フルマークなのですが、こちらはグルメエックスへの評価としています。

13

2025年08月20日

スープはオマールヘッドをブランデーで焼き上げ、そこに一燈のベースである鶏スープとブーケガルニを合わせ、しっかり濾した後にトマトペーストで整えたビスク・ド・オマール風。
香ばしい海老の風味、鶏とトマトの濃厚でまろやかな口当たりと柔らかい酸味、セロリの爽やかな香りがビスク感のある味わいを作り上げています。
ビスク・ド・オマール風といえば、海老丸さんのラーメンも宅麺からリリースされていますね。
 
ちなみに「ビスク」とは、現代では「甲殻類を使ったポタージュ」を指すのが一般的で、ビスク自体にスープの意味が含まれているため、「ビスクスープ」というのは二重表現に当たります。
例えるなら「味噌汁スープ」や「お粥ライス」と言うのと同じ事なので、「スープ」は付けずに「ビスク」とだけ呼ぶのが正しい表現です。
 
麺は多加水のスクエア型角刃太ストレート。粉の詰まった非常にコシの強いガチムチの食感で食べ応えがありますが、量は茹で前で約150gとつけ麺にしては少な目です。
 
昆布水は綺麗な桜色をしており、海老がほんのり香るまろやかな優しい味わい。一口目はスープに浸さず、まずは麺と昆布水のみで味わってみましょう。
 
次に付属のバジルソルトを麺にパラっとかけて頂くと、塩との対比効果により麺の甘味がグッと引き立ちます。
 
ソース・ピストゥにはトマコンも加えられており、麺に絡めるとしっかりとした酸味とニンニクの風味が味にメリハリを与えてくれます。
 
ちなみに「ピストゥ」とは、端折って説明するとフランスのプロヴァンス地方の言語で、フランス公用語で言う「パテ」、英語で言う「ペースト」を意味します。
つまりバジルペースト(練り物)の事で、これに松の実を加えるとイタリア料理の「ペスト・アッラ・ジェノヴェーゼ」になります。
本来ソース・ピストゥにもペスト・ジェノヴェーゼにもトマトは使わず、バジルはもっと量を使うので、こちらは独自のアレンジが施されたピストゥ風のタレ、という事になります。
 
フライドオニオンはスープにコクと甘味、ザクザクとした食感を与えてくれますが、〆のリゾットにも使えるので、つけ麺に全部使わずに少々残しておくとよいです。
 
海老は有頭のバナメイが2尾。ボイル済みで殻も剥かれていますが、有頭は鮮度が落ちやすいので、冷凍でも賞味期限を守ってなる早で頂きましょう。
 
麺が終わったらライスをレンチンしてスープをかけ、チーズを散らして〆のリゾットが完成です。
チーズは軽く炙ると香ばしさとコクが加わるのでお勧めです。先述のフライドオニオンも好相性なので、こちらにもトッピングしましょう。
ブラックペッパーや付属のバジルソルトも味を引き締めてくれます。
 
なお一通り味変して麺や昆布水を浸した後のスープは色々な味が混ざり濃度も薄くなっている為、リゾットを濃厚な状態で頂きたい場合、スープは食べる前につけ麺用とリゾット用に予め分けておくとよいです。
ただ昆布水で割った後のスープも旨味甘味がブーストされており、この状態でライスを投入するとリゾットというよりサラサラの雑炊状になりますが、それはそれで文句無しに美味しく仕上がります。
 
様々な味変が楽しめるテーマパークのようなつけ麺で、一杯としての満足度は非常に高く、これだけの味変アイテム数なので麺が足りなく感じられますが、
各々の味変をじっくり楽しみながら頂くと、〆のリゾットまで含めて最終的には中々のボリューム感になると思います。

12

2025年08月20日

スープのベースは店主出自の蓮爾登戸店に似た、豚の肉から出汁がしっかりと出た甘口の非〜微乳化豚醤油。
そこに小エビを揚げた海老油と揚げ海老が加えられており、食欲をそそるエビの香ばしいフレーバーがスープ全体に馴染んでいます。
 
ただ塩分濃度は約2.9%と海水に近く、Brix値も約29.8%とフルーツ缶並の糖度な上、スープのほぼ半量を液状油が占めているため、ヤサイは最低限乗せて油分を中和させないと味がよく分からないと思います。
画像の通りスープをレンゲで掬ってもほぼアブラしか流れ込んでこないレベルなので、油量が気になる方はスープを丼に注いだ後に液状油のみ2/3ほど掬い取ってもよいかもしれません。
 
麺も蓮爾系ならではの自家製低加水角刃平打超極太オーション麺ですが、登戸よりも若干スリムで食感にも多少の違いがあり、芯の残ったボキボキ感はあるものの、麺外周にはモチフワの弾力も感じられます。
蓮爾系のハードな硬さがお好きな方なら4分茹でくらいが推奨出来ますが、現在のゼンゼンにはハリボーという更にカッチカチな極硬仕様もあるようですね。
 
付属トッピングはしっとりホロホロに煮られたウデ肉のブタが2つ。Inスープのためブタにもエビの風味が移っています。
また揚げエビもゴッソリ大量に沈んでおり、香ばしくザクザクとした食感がアクセントになっているので、サルベージしてヤサイと一緒に頂くとよいです。
 
「M.O(町田オリジナル)」は、二郎町田店元店主(現・らぁめん大山店主)の影島さんが、自身の出身地の名産である駿河湾の桜海老を二郎のスープに合わせて生み出した伝説のメニューで、本品もそのM.Oをリスペクトしたラーメンとなっていますが、
こちらには桜海老ではなくアキアミなどの小エビが使われており、どちらかというとM.Oというより町田二郎の系譜である蓮爾登戸店のえびラーメンのほうがイメージ的に近い気がしました。

9

2025年08月20日

スープは鶏をベースとした無化調動物魚介白湯で、そこに芝麻醤をあわせたまろやかな日式担々タイプ。
町中華のケミカルな濃い旨味と異なるナチュラルな柔らかい旨味が特徴的で、塩分濃度約1.8%の若干高めな塩味、キリッとした酸味、ピリっと仄かな辛味が味わいにスッキリあっさりとしたキレを与えています。
またモミジのコラーゲンもスープ表面に膜が張るほどに溶け出しており、濃厚でネットリとした口当たりが加わっています。
湯煎をかけ過ぎると分離して復元不能となるため、指定時間以上の湯煎は避け、しっかりとシェイクしてから丼に注ぎましょう。
 
麺は加水率やや低めの角刃細ストレート。日式拉麺と中華白麺をかけ合わせたような自家製麺で、スープの持ち上げが良く、コリパツの歯切れの良さとしなやかなコシを持ち合わせています。
 
付属トッピングはチャーシュー1枚、炸醤、赤唐辛子、花椒の4種。
チャーシューはやや厚めの豚バラスライスで、箸で持ってもギリギリ崩れないくらいの軟らかさと程良い塩味旨味の味付け。
炸醤は豚の粗挽肉を使ったあまうま味で、炸醤自体にもシビカラの麻辣味が施されており、スープに溶かすとコクがグッと深まります。
 
花椒は自家挽きのようでやや粗く、痺れの強い熟した赤花椒ではなく、フレッシュで爽やかな香りの青花椒が使われています。
赤花椒ほどの麻味ではないものの、花椒に慣れていない方は少しずつ足して量を調節するとよいです。
赤唐辛子も強い辛味ではないので、激辛好きの方には物足りないかもしれません。
 
スープ量はたっぷりなので、沢山食べたい方は雑炊用のライスや替え玉も用意しておくとよいです。
無化調の担々麺なのでジャンク趣向にはパンチ不足に感じるかもしれませんが、職人観点だと担々麺を無化調でこれほどのクリアな旨味に仕上げる技術に作り手の労力を感じます笑

11

2025年08月20日

タレはクリアな醤油ベースで、豚背脂や鶏油に生姜の香りを移した香味油のまろやかな味わい。
醤油返しにも香味油にも煮干が効いていますが、ドロドロとした粘度はなくサラサラとしており、煮干をガツンと効かせたタイプではなく、風味と旨味のみを濃密かつ上品に抽出しています。
 
また苦味やエグみなどもなく、煮干のクセは背脂の旨味甘味が包み込んでいますが、こちらの冷凍版では豚背脂は液状と粒状がタレに予め加えられた味付アブラ状態となっており、オイリーでパンチが強く効いています。
 
麺は三河屋製麺の角刃太麺。緩く縮れの入ったスクエア型で、粉の詰まったムチグチ食感。タレの吸い上げが良く、手早く混ぜ終えないとムラになるので注意です。
なお本品は油そばなので、タレが乳化し汁気が無くなるまでしっかり入念に混ぜ合わせるのが美味しく頂くコツです。
先に麺とタレだけを混ぜ合わせ、汁気が無くなってから他のトッピングを加えて再度混ぜるようにすると、混ぜムラも出ず効率良く上手に仕上がります。
 
付属トッピングは煮干粉と、厚めにスライスされた低温調理のレアチャーシューが2枚。
しっとり瑞々しい鶏胸肉と軟らかくも弾力のある豚肩ロースが1 枚ずつで、拍子木切りにすると麺に絡みやすく、卵黄と和える事でユッケのような味わいになります。
 
なので卵黄は必須で追トピしましょう。刻み玉葱とカイワレも多めに入れるとよりあっさりと頂けます。
追トピ無しだと油分が強く主張し、商品本来のバランス感が崩れてしまうため、最低でも卵黄、玉葱の2つだけは加えたほうがよいです。
その他好みに応じて、お酢、ラー油、ネギ、海苔、胡麻、メンマなど加えて、自分なりの一杯に仕上げるとよいと思います。
 
こちらは宅麺でも販売されている人気店、つきひ@亀戸のプロデュースした油そばとなっており、つきひらしい煮干の風味と旨味が凝縮した味わいとなっています。

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