元料理人で現コンサルなラヲタ

40代/男性

・仏伊中印料理の元シェフで、現在はコンサルティングに携わっています
・宅麺は主に製麺・スープ開発の参考用に利用しています
・麺の加水率やスープの甘い、塩っぱい、辛い等は主観ではなく、全て検査器により数値化した絶対値及び相対値を元にコメントしています。答え合わせのご参考に
・味覚検定チョコEASY・NORMAL・HARD全問正解(全問正解率1%)
・ラヲタ歴35年以上、春木屋・丸長・土佐っ子の味で育ち、家系直系・二郎直系・東池袋大勝軒直系は何周もしている元ガチ勢です
・プラチナ会員ですが抽選販売はクジ運悪く大抵先着販売で買っています
・店主へのリスペクトと、同じ飲食に携わる者として、プロの作った作品に点数など付けられないという理由で、星は基本的に全部5にしています

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2025年06月25日

麺はオーションを使用した加水率やや低めの自家製緩縮れ平打太麺。
インスパ系では平均的な太さながら、二郎直系のようなモチムチのソフトな弾力で、麺量も350gと一般的なラーメンの2杯分以上はあるため、2人でシェアしても丁度良いくらいのボリュームです。
 
なお塊状に冷凍されているためやや解れ辛くなっていますが、無理に解そうとして茹で直後から箸でつついたりすると麺が傷ついて短く切れたりするので、
もし固まっているなと感じたら、茹で始めから最初の5分くらいは完全放置し、5分を過ぎたあたりから軽く解すようにすると、品質を落とさず上手に茹で上げられます。
 
そのほか確実かつ誰でも簡単に茹でミスを防げる方法として、調理前日夜に麺だけを冷凍室からチルド室に移し、一晩かけてじっくり半解凍してから手で軽く解すやり方があります。
ただし極端に解れ辛い場合に限った手段なので、本来は冷凍状態のまま茹でるのが好ましいです。
なお冷蔵室での解凍は、結露や乾燥を招く可能性があるので、なるべく避けたほうがよいです。チルド室があれば必ずチルド室で。常温は絶対NGです。
 
タレはシンプルな濃口醤油ベースで、塩味、旨味、甘味の均整の取れたオーソドックスなタイプですが、
ネギとニンニクを揚げた芳ばしい風味が漂う香味油、また粗挽きブラックペッパーの刺激が独自のアクセントを生み出しています。
 
このタレと麺を汁気が無くなるまで混ぜ合わせ、トロトロに乳化させる工程が油そばを美味しく作る上で最も重要なポイントとなります。
油そばのタレは汁無しやまぜそばと違いスープが含まれておらず、比較的早く混ぜ終わるので、手を抜かずにしっかりと乳化させましょう。
シンプルながら、混ぜれば混ぜるほどまろやかにコクが出て美味しくなる、それが油そばという料理です。
 
付属トッピングは別パックで、HEROのシンボルとも言えるうずら味玉が1ヶと、ぶつ切りにされた大粒のゴロゴロブタがゴロゴロと。
ブタはバラ肉ですが、ロールチャーシューや角煮などに使われる三枚肉のほうではなく、こちらは肩バラという部位で、ホロホロに解れる肉々しい食感と濃厚な旨味が特長となっています。
実店舗では麺の下にブタを敷き、混ぜ始めると丼の底からこんにちはと顔を出すギミックになっています。
そして混ぜ進むにつれ細かく崩れて麺にガッツリ絡みつき、麺、タレ、ブタの全てが渾然一体となった状態が食べ頃です。
 
また本品は油そばなので、実店舗でもヤサイトッピングはありませんが、その代わりにネギトッピングは必須です。
その他ニンニク、生卵、ラー油、バター、お酢などの追加は各自で準備しましょう。後はお好きなトッピングをお好きなように乗せて、お好きなように楽しめばよいと思います。
一般家庭では難しいかもしれませんが、もし可能であればフライドガーリックや焦がしネギも用意しておきたいところです。
 
ちなみに実店舗には生卵に豚背脂を加えた脂生玉子という背徳感マシマシのけしからんアイテムがあります。
これは別商品の背脂を転用すれば家庭でも簡単に作れるので、もし冷凍庫に使い残した背脂が眠っていたら、これを機に封印を解いてみるのもよいかもです。
この脂生玉子に白だしを軽く垂らしてスキヤキ風に麺を絡めて頂くと軽く飛びます。
 
なお実店舗では冷やし油そばという限定メニューもあるように、これからの暑い季節には麺を冷水で〆て頂くのもお勧めです。
ブタは湯煎解凍、タレパックはぬるま湯解凍、麺は10分茹でてからつけ麺のように水洗いし、後はしっかりと混ぜ合わせて完成です。
 
ただしタレの油には豚脂がブレンドされており、温度が低すぎると固まってしまう為、麺は氷水などで冷やさず普通の水温で洗うとよいです。
麺はコリコリと締まった強いコシ、タレはホットほど絡まずキリッとしたエッジが生まれ、通常の油そばにないあっさりさっぱりとした爽やかな味わいに仕上がります。
お酢や柑橘果汁、ポン酢、生姜、マヨネーズ、刻み海苔、温泉卵、明太子などもベストマッチです。
 
香味油とブラックペッパーの風味、麺に隠れたゴロゴロブタ、フライドガーリックとラー油のトッピングなど、
そのスタイルは店主出自の二郎桜台駅前店を踏襲したもので、既に閉店してしまった彼の地の追憶に耽るような一杯となっています。

13

2025年06月25日

スープはクリアに澄んだ動物ベースのあっさり醤油清湯。コトコト炊いて鶏ガラと豚肉の風味をじっくりと抽出した優しい味わいで、
塩分濃度約1.9%、Brix値約5.5%と出汁自体の濃度は低めですが、ラードにまろみがあり、多めの化調で旨味がガッツリと効いています。
 
麺は加水率やや高めのスクエア型角刃中細緩縮れ。
ツルツル滑らかな麺肌にムチプリのソフトな弾力で、スープと程良く絡み、クセのない一体感を生み出しています。
 
付属トッピングは板海苔が1枚と、ジャキジャキ食感の濃口極太メンマが2本、やや厚めなスライスの燻香漂う豚ロースレアチャーシューが1枚。
チャーシューはスープに浸しておくと赤身の旨味と脂身の甘味が徐々に溶け出し、味変の役割を果たしてくれます。
ただチャーシューとメンマを重ねて冷凍している為、メンマとの高低差による圧力でチャーシューが砕けてしまっており、
またメンマの味と色もチャーシューに移っているので、パックは出来ればセパレートにして頂きたかったかも。
 
山形中華蕎麦というタイトルですが、米沢、赤湯、新庄とりもつ、酒田月系のような特定のご当地ラーメンを意識した感じではなく、
山形県全域で古くから親しまれている、昔ながらの「中華そば」の新旬屋スタイル、といったイメージでした。
いさご食堂っぽい雰囲気もありましたが、こちらはトッピングにも新旬屋のオリジナリティが表現されており、ネオクラ/ネオノス的な要素も感じられる一杯だと思います。
煮干しなどの魚介類や手揉みの縮れ麺が使われていないあたりにも、庄内地方や米沢、南陽、他地域だと旭川や東京等との差別化が図られているような印象です。

7

2025年06月18日

麺はひらいめん(平い麺)と呼ばれる自家製の多加水超極太平打麺。
名前の通りの平たい幅広麺ですが、きしめんのようなピロピロとした薄いものと異なり、麺帯がブ厚く、
もち小麦ブレンドによるモッチモチのコシ、滑らかなツルッツルの麺肌、瑞々しいプリップリの弾力と小麦本来の甘味が楽しめます。
また、かん水による引き締まった強いグルテンもウドンにはない特長として表れています。
 
茹で時間は麺カタ好きなら指定時間最短の8分くらいで上げても良いと思いますが、このタイプは二郎インスパ系の低加水ワシゴワ麺とはタイプの違う、多加水のツルモチ食感が醍醐味なので、
麺のコシと絡みを最大限に引き出すなら、指定時間よりも2〜3分長く茹でてしっかりα化させたほうが良いです。
そもそも油そばは軟めに茹でるのが基本の調理法で、硬めにすると油やタレとの絡みが低下するので注意です。
 
タレはブレンド醤油ベースで、刻みニンニクと魚粉の風味が効いた、香ばしくパンチのある味わい。
麺を真っ黒に染める深い黒色ですが、これはたまり醤油の色味によるもので、見た目ほどの塩味はなく、甘味と旨味が強い、ビターでコクのあるあまうま醤油味となっています。
 
こちらをタレの汁気が無くなるまで麺としっかり混ぜ合わせる事で、タレが乳化し、小麦の甘味旨味も溶け出して、塩味のカドが取れたまろやかな味わいに仕上がります。
逆に塩味のキレを感じた場合は混ぜ不足の状態で、タレが非乳化のシャバシャバ状だと麺にタレが絡まず味が乗らないので、
少なくともタレにトロみとツヤが出てくるまでは入念に混ぜましょう。多少時間をかけてもこの麺はそう簡単にはノビないので心配いりません。
 
付属トッピングは約1〜1.5cm厚の食べ応えある豚バラチャーシュー縦スライスが2枚。
軟らかく脂身も旨みが詰まっていますが、熱を通し過ぎると水分も油分も抜けてしまうため、湯煎のかけ過ぎには注意です。
 
あとはニンニク、ネギ、玉葱、チーズ、フライドオニオン、鰹節、魚粉、酢、ラー油、胡椒、唐辛子など、お好きなトッピングを各自追加してお好きなように楽しめば良いと思います。
生卵に関しては、濃厚に仕上げたい場合は卵黄のみ、まろやか且つ追い飯を視野に入れて汁気を残したい場合は全卵を使うとよいです。
 
量が多く、麺もチャーシューも噛み応えがあるので、2人でシェアしても充分なボリューム感ですが、お腹に余裕がある方は、残ったタレにライスを投入する追い飯で〆たいところです。

13

2025年06月11日

本品はよしかわの出汁にど・みその味噌ダレを合わせたコラボ味噌ラーメンという事で、
まずスープのベースはよしかわの限定で出されていた「地蛤と帆立の潮そば」のようなアニマルオフ&貝オンリーの構成で、
ハマグリとアサリとホタテによる甘味&コハク酸の旨味がギュギュッと凝縮した、上品でクリアな和出汁となっています。
 
そこに仙台味噌や信州味噌などの辛口味噌をベースに複数をブレンドしたど・みその味噌ダレを合わせる事で、
グルタミン酸とコハク酸による旨味の多重構造を作り上げています。
 
塩分濃度は約1.9%とやや高めながらも塩味の角がなくまろやかで、優しくあっさりとした飲み口になっていますが、
とにかく旨味がブ厚いためにあっさりながらもフルボディのような強いコクと深みのある味わいに仕上がっています。
 
麺は熟成感のある手打ち式多加水角刃平打縮れ太麺。ど・みそでは浅草開化楼の麺で提供されたようですが、本品で使われているのはよしかわで提供された自家製麺で、
悩ましいムチモチのコシ、ツルピロに滑らかで瑞々しい官能的な舌触り、そして麺自体の旨味が攻撃性のない味噌スープと絶妙にマッチした、非常に秀抜な逸品となっています。この麺ヤバいですね。
 
付属トッピングには殻付き蛤と浅蜊の剥き身があり、ハマグリは大粒でブリッブリな肉厚の紛れもない地蛤。
煮汁と一緒に冷凍されているので、チラシに書かれている調理方法に倣って解凍し、パック内の煮汁から蛤と浅蜊だけを取り出してトッピングしましょう。
煮汁はスープに足すと二枚貝の旨味がグッとアップし、かつ塩味も抑えられるというスープ割り用にも使えるほか、そのまま温めて塩をひとつまみ加え、三つ葉を飾れば潮汁としても美味しく頂けます。
 
またあさり牡蠣バターは牡蠣と浅蜊をアッシェしてあり、スープに溶かすと牡蠣の風味と乳脂肪のコクが加わる味変アイテムとなっています。
 
よしかわは地元にもあるので実店舗でも頂いてきましたが、二枚貝の冷凍による影響と、あさり牡蠣バターの仕様と量には実物との違いをやや感じたものの、麺とスープは実店舗同様に素晴らしく、
個人的には味噌ラーメンの枠としてもラーメン全体の大枠としてもかなりのヒット作で、改めてよしかわは名店だなぁとしみじみ思いました。

15

2025年06月11日

スープは魚介オンリーでアニマルオフの無化調醤油清湯。
節と煮干と濃口醤油の芳ばしさやセロリの清涼感など芳醇な香りが特徴的で、表面には風味豊かな鶏油と豚背脂が適度に浮いています。
 
醤油はすっきりとした適度なキレ感もありつつ深いコクを感じる角のない円みがあるため、塩分濃度は約2.3%と高めながらも、
旨味、甘味、酸味、油分も含め全てがバランス良く組み立てられており、あっさりとしつつどっしりとした厚みも感じられます。
ここに焦がしネギの苦味が加わると、5つの基本味による味の相互作用が見事に生まれます。
 
麺は自家製の中加水スクエア型角刃細ストレート。
麺肌は滑らかで、コシ、ハリ、ノビのある食感に加え、麺自体の旨味やスープの持ち上げも申し分なく、
時間経過とともにスープを吸い上げ、味わいがより深く、ふんわりもっちり優しい弾力へと変化してゆきます。
 
付属トッピングのメンマは風味が素晴らしく、甘味酸味のバランスも絶妙。
食感も万人受けのコリコリ歯応えのあるものとは違い、熟成感ある味わい、風味、舌触りもしっかりと楽しめるミディアム食感な仕上がり。
 
チャーシューは吊るし焼きされた霜降りの内ももスライス焼豚が2枚で、醤油麹の奥行きある甘みとスモーキーな香りが楽しめる逸品。
きめ細かいしっとり柔らかな肉質で、脂身は甘く口内でトロリと溶け、赤身は熟成された濃厚な旨味が存分に詰まっています。
解凍は流水、ぬるま湯、冷蔵が望ましく、熱湯湯煎すると肉汁が抜けて失敗するので注意です。
 
焦がしネギはほんのりビターな苦みと香りがアクセントになりますが、味変として少しずつ加えると、じっくり、より長く味の変化を楽しむ事が出来ます。
 
所謂「神奈川淡麗系」と呼ばれるジャンルで、店主は麺や食堂、麺や維新といった神奈川淡麗系の名店出身という事もあり、ネオクラ系とはタイプの違う淡麗系ならではのクリアな味わいが特長です。
寒川移転で東京からは更に遠くなってしまいますが、寒川は人気店がひしめき合っているので、今から最新の訪問ルートを考えてワクワクしています。
新店舗で更にアップデートされた鴇の宅麺リリースにも期待持てますかね?笑

16

2025年06月11日

スープは画像から分かる通りの微乳化タイプ。乳化好きにも非乳化好きにも合うように調整しているらしく、
まさに非乳化とド乳化の中間点といった具合の綺麗な微乳化で、液状背脂もたっぷりと表面を覆っており、豚肉出汁もしっかりと出ています。
 
キレとまろやかさを併せ持った味わいですが、グルも大量に使われていて、塩分濃度は約3.9%と海水を超える超高度で、糖分濃度も約23.4%と強烈な高さとなっている為、
舌が鈍っていない方ならヤサイを乗せないと食べ進むのは流石に厳しいと思います。というかナトリウムの過剰摂取を防ぐ為にも乗せたほうがよいです。
 
麺は自家製の平打極太縮れ麺。インスパ系にありがちなワシゴワの硬いタイプではなく、二郎直系のロット後半っぽい、ちょいヤワのモチプリ食感なあたりからも二郎愛を感じます笑
スープ量はやや少なめですが、麺量が多いので、結果として丼に溢れんばかりのボリュームとなります。解れやすいよう平たくパックされている気遣いも好感度↑ですね。
 
ちなみにシャークという小麦粉はオーションと同じく強力粉ですが、ミネラルもタンパクもオーションより含有率がやや高く、より色濃くグルテン形成も強くなるのが特徴的です。
そのため加水率をあまり低くしてしまうと食感が悪くなってしまうので、二郎っぽいオーション感も出しつつ、
モッチリとした特有の食感も引き出すよう、適度に加水を増やして独自に製麺されているように感じます。
 
付属トッピングのブタはスープと別パックで、約2cm幅、合計約130gものブ厚いウデスライスが2枚。
国産ブランド肉が使われており、赤身と脂身の割合が秀逸で、味付けも良く、しっとりジューシーでフンワリ柔らかながら適度な噛み応えも残されています。
二郎及び二郎インスパ系ではチャーシューの事を「ブタ」と呼びますが、こちらのお店はワインバル系列という事で、ブタというよりも豚料理という表現が適切なくらいの上質な逸品になっていると思います。
 
アブラは富士丸タイプの味付カスアブラ。甘味のあるトロトロの豚背脂と適度に混ざった解しブタと濃い目のタレで、ヤサイのドレッシングとしてもつけ麺スタイルとしても重宝します。
 
長次郎は5年くらい前に実店舗へ伺っており、当時のスタイルとしてはヒバジリスペクトだったのですが、現在はそこまで似ている訳でもなく、
スープも麺も昔に比べてヒバジ感が抜け、オリジナリティに磨きがかかった印象を受けました。
 
ブッチャーズのほうは数か月前にお邪魔したばかりですが、味にせよ接客にせよ冷凍の包装方法にせよ、どちらのラーメンからもカスタマーファーストのマインドが伝わる、ホスピタリティの高いハイセンスなインスパだと思います。
絶品なのはブタに限らず、麺、スープ、アブラ、商品管理の全てにおいて満遍なく素晴らしかったです。

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