元料理人で現コンサルなラヲタ

40代/男性

・仏伊中印料理の元シェフで、現在はコンサルティングに携わっています
・宅麺は主に製麺・スープ開発の参考用に利用しています
・麺の加水率やスープの甘い、塩っぱい、辛い等は主観ではなく、全て検査器により数値化した絶対値及び相対値を元にコメントしています。答え合わせのご参考に
・味覚検定チョコEASY・NORMAL・HARD全問正解(全問正解率1%)
・ラヲタ歴35年以上、春木屋・丸長・土佐っ子の味で育ち、家系直系・二郎直系・東池袋大勝軒直系は何周もしている元ガチ勢です
・プラチナ会員ですが抽選販売はクジ運悪く大抵先着販売で買っています
・店主へのリスペクトと、同じ飲食に携わる者として、プロの作った作品に点数など付けられないという理由で、星は基本的に全部5にしています

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2025年09月10日

スープは鶏ガラを中心に魚介のアシストを加えた無化調醤油清湯。塩分濃度は約2.3%と濃口醤油による塩味が強く、その塩味と釣り合わせるように甘味も強調されているので、味は全体的に濃いめとなっています。
 
あっさりとしていますがコクもあるあまうま味で、良質なA脂を使った甘味ある大粒豚背脂もたっぷりと浮かべられており、一種のトッピング具材として成立しています。
 
麺は自家製の多加水幅広麺。日陰のプロデュース店という事で、小麦の甘味や、もち姫を使った滑らかで官能的な舌触りとモチムチのふんわり軟らかな食感は、まさに日陰譲りといったところ。
 
博多うどんにインスピレーションを受けて作られた麺、というのが本質としてありますが、かんすいを使っているので当然うどんやきしめんとは異なる中華麺ならではのコシがあり、
また麺と未来よりもやはり日陰のほうがタイプ的に近く、筑後うどんのような粘りゴシも持ち合わせています。
麺と背脂の舌触りが同調しているのも面白いところですね。
 
なお麺には打ち粉がしっかりと使われており、茹でている間に勝手に解れてくれるため、箸などで解す必要はありません。
冷凍状態のまま2リットル以上の熱湯に入れてから1:30くらいは一切触れずに完全放置、麺が浮いてきたら軽く沈めて後は時間まで放置くらいのイメージで上手に茹でられます。
 
逆に麺に触れすぎると短く切れてしまったり、麺肌が傷付いて味も食感も劣化するので、下手なちょっかいは出さず、成長するまで優しく見守ってあげましょう。
カタメ茹でも厳禁です。もちふわ食感を愉しむ麺なので、2リットル以上の熱湯で指定時間を必ず守って茹でるのが最重要ポイントです。
 
付属トッピングは香ばしく焼かれた厚切りの豚バラチャーシュースライスが2枚。Inスープの影響か塩辛さを感じますが、脂身はトロトロに軟らかく煮込まれています。
 
また玉葱を乗せると燕背脂系、ネギとニンニクで環七系とありますが、そもそもスープ自体に燕背脂系の煮干感も環七系の豚骨感もないので、味的にはどちらにもならないというのが率直な感想ですが、雰囲気は近付けられると思います。
 
玉葱に関しては、どちらかというと燕系より竹岡式のほうがイメージ近いですかね。味が濃いので、玉葱は大玉なら1/4玉、小玉なら半玉くらいタップリ乗せても大丈夫だと思います。長ネギ&ニンニクも美味しいですが、個人の好み的には玉葱のほうが相性良く感じました。
 
あとブラックペッパーも抜群に合います。富山ブラックのようにたっぷりぶっかけてライスのおかずにするのもアリです。
味が濃いので溶き卵に絡めるスキヤキ風もお勧めです。
 
とにかく麺が個性的ですが、麺と未来、日陰、陰日向が好きな方、福岡のうどんが好きな方など、ヤワ麺の美味しさを理解出来ている方なら好みに合うと思います。

11

2025年09月10日

スープは蝦夷鹿特有の白濁感と甘みが感じられますが、出汁自体は幾つかの動物類と香味野菜など諸々の要素で構成された、複合的なボーンブロスとなっています。
ゼラチン質によるまろやかな口当たりと適度なコクもあり、塩分濃度は約2.2%とカエシの醤油が強く、あっさりとしつつもフォアグラの脂による深みのある濃厚感がプラスされています。
 
ちなみにジビエは臭みがあるという先入観をお持ちの方もいますが、それは捕獲直後の処理技術や解体設備が整っていなかった時代の話で、
現代は捕獲後処理や施設搬送の速度、また解体及び冷凍の技術が進歩している為、鹿に関しても発情期の雄でなければ獣臭といった類はほぼ感じられないと思います。
そもそも鹿は草食動物なので、肉食動物に比べてクセは弱く、特に骨などのガラ部分であれば、鮮度が良ければ獣臭は家畜と大差ありません。
 
麺は平打の角刃中太ストレート。
麺帯は薄めですが、フレンチのヌイユを意識したかのような滑らかな舌触りとモッチリとした食感で、スープの吸い上げも良く、風味と旨味を余すことなく運んできます。
 
付属トッピングは大判の豚肩ロースチャーシューと合鴨胸ローストが1枚ずつ。どちらもカーリーパセリとローストガーリックの効いたブルギニョンソースのようなタレに漬け込まれた、甘みのある濃いめの味付け。
合鴨ローストはねっとりとした食感のブルーレア状なので、生っぽさが苦手な方はスープに沈めて熱を通したほうがよいかもしれません。
 
鹿骨スープといってもフレンチのブイヨン・ド・シュヴルイユとは異なるラーメン的なアプローチで仕込まれており、
鹿スープの味を知らない方だとこのスープのどこに鹿が存在しているのか自体が分からないかもしれませんが、
一般的には鹿骨出汁は牛骨出汁に似ていると例えられる事もあり、コラーゲンが豊富で甘みも強い反面、淡白であっさりとしています。
 
なお残ったスープのアレンジ術としては、バゲットを浸す、ライスを加えてリゾット風にする、スパゲティやマカロニを入れてスープパスタにするといった一般的な方法の他、
牛乳とコーンを加え軽く煮てポタージュにする、うどんと温玉、粉チーズ、黒胡椒でカルボナーラ風うどんにする、カレー粉を混ぜてジビエカレーにする、といった方法もお勧めです。

12

2025年09月10日

まず形としてはキーマなのですが、ドライカレータイプとは異なるトロリと汁気を残したタイプで、玉葱や煮込まれたトマトの甘みと優しい酸味がまろやかな味わいを作り上げています。
 
粗挽きのブリッブリな豚挽肉に加え、シマチョウは食べやすいサイズに揃えられており、ムッチムチの弾力とゼラチン化したコラーゲンのネットリとした舌触り、そして噛めば噛むほどに脂身の甘味がジューシーに溢れ出てきます。
 
イノシン酸のコク深い旨味も特徴的で、スパイスは素材の味を引き出す穏やかな配合となっており、辛味もマイルドに抑えられています。
 
ちなみに牛の腸は胃側から順にマルチョウ(小腸)、メンチャン(盲腸)、シマチョウ(大腸)、テッポウ(直腸)とあり、胃に近いほど食感が軟らかく脂も乗り、遠くなるほど弾力が強く脂が少なくなります。
 
ライスは深い甘味とモチモチの食感が汁気のあるキーマと相性良く、口の中でホロリと解れます。
 
なお塊状のため湯煎解凍は向かず、レンチンも袋のままだと端部分の加熱が先に進み硬くなる場合があるので、
可能であれば一旦耐熱用タッパーに移してから蓋をしてレンチン、途中で一度解してから再度蓋をしてレンチン、という方法をお勧めします。
こうする事で内部の加熱不足や糊化、過加熱による表面部分及び端部分の水分蒸発を防ぎ、ふっくら瑞々しい状態に仕上げる事が出来ます。
 
付属スパイスは肉料理と相性の良いナツメグも使われており、香りを足したい方は量を調節して加えると良いです。
チリペッパーやブラックペッパーなどは含まれていないので、辛味が苦手な方でも安心して使えます。
 
牛もつキーマという事で、内臓系の独特の食感に抵抗のある方だと如何ともし難いですが、臭みなどの類はなく、キーマ自体は非常に穏やかで滋味深い味わいとなっています。
とにかく素材の良さと脂身の豊かな旨味が光っており、挽肉だけでは味わえないジューシーなキーマカレーになっていると思います。私はモツ焼きとモツ煮で延々呑めるクチなので、こちらもドストライクです。

5

2025年09月03日

スープはあまうまながら醤油もキレた微乳化タイプで、半分近くを液状油が占めており、アブラが多い分塩味を感じにくくなっていますが、
塩分濃度は約3.8%と海水よりも強い上、Brix値は約15.8%と糖分もかなり高いので、ヤサイがないと相当厳しい戦いになると思います。
 
麺はうねりの強い低加水角刃極太平打麺。特に細いような印象はありませんでしたが、インスパイア系らしい粉の詰まったグッチリ感とムチムチブリブリの強い弾力が楽しめます。
 
付属トッピングはInスープで、迫力サイズのウデ肉ブタがゴッツい塊でドーンと1塊+小ブロック数個。
ウデ肉特有のややギュチ食感で、箸でホロリと崩れるヤワブタではなく、豪快かつワイルドにかぶりつく肉感溢れるタイプ。
 
味付アブラはブタカスも程々に加えられており、ブタとあわせてヤサイがたっぷりと食べられます。
別皿に取って麺をディップする食べ方もありますが、本品はスープ自体の塩度が高く、更に塩と油をブーストするような形になるので、ヤサイのドレッシングとして使うのが無難です。
 
なお溶いた生卵に麺を絡めて食べるすき焼き風については、強い塩分と油分をまろやかにしてくれる為、逆にお勧めです。
 
俺道出身という事で、味的にもスタイル的にも富士丸を源流とした荘グループ系のフォーマットとなっています。
麺もブタもアブラもパワフルな上、俺道よりも攻めた濃口なので、食べ応えは申し分ないと思います。

14

2025年09月03日

スープは豚骨100%で、メインのスープに新しいスープを継ぎ足し、長い年月をかけて仕込まれた呼び戻し式。
なので熟成した豚骨特有の匂いはありますが、豚頭は使っていないため、ビッグワンや来久軒のような強い匂いはありません。
 
豚のゲンコツと水だけを羽釜で炊き上げ旨味を抽出し、ラードは使わずガラのみで乳化させる事で、
コラーゲンたっぷりの、濃厚ながらあっさりとした、骨粉の沈むまろやかクリーミーなド乳化純正豚骨スープが作り上げられています。
 
ちなみに羽釜は釜底がカーブしている分対流が起こりやすく、強火で炊いても鍋底に当たりにくい(焦げ付きにくい)ため、スープが効率的に乳化しやすく、
久留米ラーメンやムテ系のような濃度の高い豚骨スープを仕込むお店では昔から好まれています。
 
カエシは薄口醤油と塩のみのシンプルな構成で、塩分濃度は約1.9%、糖分濃度は約6.9%と、刺激の少ない優しい味わいのチューニングとなっており、
また香味油も使われていない為、マイルドながら熟成された豚骨の風味と旨味をダイレクトに感じられる味わいとなっています。
湯煎が終わった直後は油分が分離しているので、開封前に最低50回以上はシェイクして、きちんと再乳化させてから丼に注ぎましょう。
 
麺は円形の丸刃中細ストレート。九州のラーメン=切刃28番手の極細麺という先入観を持たれがちですが、実際は博多や長浜以外の地域では寧ろ中細〜中太のほうが主流で、
本品も切刃24番手程度の中細麺となっており、佐賀ラーメンではもう少し太い中太タイプを使うお店も数多くあります。
 
また博多や長浜のような低加水でもなく、中加水ながらナトリウム主体のかんすいをボーメ度低めに調節しているような食感で、低加水の極細麺とは一味違ったモチプリコリバツの弾力が生み出されています。
 
なお佐賀ラーメンは軟らか目なのも特徴的で、いちげん実店舗でも通常はヤワメの茹で加減で提供されます。
カタメ茹では麺の構造的に合わず、独特のコシを引き出せない上にスープとの絡みも悪くなるので、カタメがお好きな方もせめて指定の茹で時間内で調節しましょう。
 
付属トッピングは豚モモチャーシューの薄スライスが2枚。
昔ながらの煮豚タイプで、薄切りながらも豚モモ肉特有のモチモチとした弾力と旨味が感じられます。
 
ちなみに佐賀ラーメンは徳島ラーメンと同じく生卵のトッピングが人気で、いちげんでは卵黄が使われていますが、佐賀ラーメンの中にはテルテルのように全卵を選べるお店もあるので、そのあたりはお好みで。
 
ただ卵白は約9割が水分で出来ており、スープを薄める上に温度もぬるくなり、口当たりも匂いも変えてしまうので注意しましょう。
卵黄もスープにコクを与える反面、最初からスープの中で崩してしまうとスープ全体の味が変わってしまい、
元に戻す事もリカバリーも出来なくなるので、いちげん実店舗ではレンゲの上で卵黄を崩し、麺を絡める様に食べる事をお勧めされています。
 
また海苔をトッピングする場合は実店舗と同様に口溶けのよい有明産を選ぶとよいです。ラーメンには乗せず別添えにし、食べる際にしっかり浸してスープを吸い込ませ、ライスと一緒に食べると軽く飛びます。
 
おろしニンニクも佐賀ラーメン定番の味変アイテムです。お腹に余裕のある方はマルタイ棒ラーメンで替え玉を。
但し佐賀ラーメンでは久留米ラーメンと同じ様に中太麺が使われる上、せっかくの濃厚スープも薄めてしまう為、基本的に替え玉は提供されません。
 
いちげんは袋麺も商品化されており、佐賀ラーメンの中でも全国的にネームバリューのあるお店ですが、
佐賀ラーメン自体が初という方も、とりあえず最初は卵黄を乗せてみて、佐賀ラーメンの人気スタイルを体験する事をお勧めします。
などと言いつつ、私は佐賀ラーメンのお店では常に卵無しで頂いています(笑)。どのお店も基本的には卵有りと無しでメニューが分かれているので、乗せるか否かは好みで良いと思います。

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2025年09月03日

スープはじゃぐら感のある味噌ブレンドで、甘味、旨味、酸味をベースとした、中濃ピリ辛のあっさりまろやかな味わい。
イメージとしては胡麻の香ばしさとブラックペッパーの効いた、ごまだれ味の冷やし中華的なテイストです。
冷やしラーメンなのでスープの湯煎は当然NG。冷蔵庫で一晩解凍するか、若しくは水を張ったボウルにパックを数分浸しておけば、手早く経済的に解凍出来る上、パックを浸しておいたボウルの水はそのまま麺洗い用の冷水としても再利用できます。
 
麺は多加水の角刃太縮れタイプで、冷水で締める事によりブリッブリのムッチムチな強い弾力を引き出せます。夏場は氷水でしっかりと冷やしましょう。
冷水を張ったボウルの中で麺のヌメリと粗熱を取り、水を2〜3回入れ替えて最後に氷を加えれば無駄なく上手に冷やせる上、水道代の節約にもなります。
 
付属トッピングはInスープでしっとり軟らかい拍子木切りチャーシューがたっぷり。胡瓜をアッシェしたキュウリソースは爽やか且つクリーミーで、瑞々しいマヨネーズのようなイメージ。こちらもスープパックと一緒に冷水か冷蔵庫で解凍しましょう。
味変にはお酢やカラシといった冷やし中華に使うような調味料が良く合います。刻み海苔、大葉、茗荷、ネギ、カットトマト、錦糸玉子なども相性よいですね。
 
なおスープが残ったら冷飯を入れて冷や汁風にするのが定番ですが、素麺や流水麺で替え玉というのもお勧めです。
 
ちなみに実店舗の味に近付けるコツとしては、
・お皿は冷凍庫で冷やしておく
・麺はしっかり茹でた後に氷水で冷たく締める
・コーンは冷凍してからトッピングする
・もやしは茹でた後に冷蔵庫か氷水にさらして冷やす
・仕上げにクラッシュアイスを散りばめる
 
などが挙げられます。
とにかく食器も食材もキンッキンに冷やすのが美味しく作る重要なポイントです。

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