2025年09月10日
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40代/男性
・仏伊中印料理の元シェフで、現在はコンサルティングに携わっています
・宅麺は主に製麺・スープ開発の参考用に利用しています
・麺の加水率やスープの甘い、塩っぱい、辛い等は主観ではなく、全て検査器により数値化した絶対値及び相対値を元にコメントしています。答え合わせのご参考に
・味覚検定チョコEASY・NORMAL・HARD全問正解(全問正解率1%)
・ラヲタ歴35年以上、春木屋・丸長・土佐っ子の味で育ち、家系直系・二郎直系・東池袋大勝軒直系は何周もしている元ガチ勢です
・プラチナ会員ですが抽選販売はクジ運悪く大抵先着販売で買っています
・店主へのリスペクトと、同じ飲食に携わる者として、プロの作った作品に点数など付けられないという理由で、星は基本的に全部5にしています
2025年09月10日
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スープは蝦夷鹿特有の白濁感と甘みが感じられますが、出汁自体は幾つかの動物類と香味野菜など諸々の要素で構成された、複合的なボーンブロスとなっています。
ゼラチン質によるまろやかな口当たりと適度なコクもあり、塩分濃度は約2.2%とカエシの醤油が強く、あっさりとしつつもフォアグラの脂による深みのある濃厚感がプラスされています。
ちなみにジビエは臭みがあるという先入観をお持ちの方もいますが、それは捕獲直後の処理技術や解体設備が整っていなかった時代の話で、
現代は捕獲後処理や施設搬送の速度、また解体及び冷凍の技術が進歩している為、鹿に関しても発情期の雄でなければ獣臭といった類はほぼ感じられないと思います。
そもそも鹿は草食動物なので、肉食動物に比べてクセは弱く、特に骨などのガラ部分であれば、鮮度が良ければ獣臭は家畜と大差ありません。
麺は平打の角刃中太ストレート。
麺帯は薄めですが、フレンチのヌイユを意識したかのような滑らかな舌触りとモッチリとした食感で、スープの吸い上げも良く、風味と旨味を余すことなく運んできます。
付属トッピングは大判の豚肩ロースチャーシューと合鴨胸ローストが1枚ずつ。どちらもカーリーパセリとローストガーリックの効いたブルギニョンソースのようなタレに漬け込まれた、甘みのある濃いめの味付け。
合鴨ローストはねっとりとした食感のブルーレア状なので、生っぽさが苦手な方はスープに沈めて熱を通したほうがよいかもしれません。
鹿骨スープといってもフレンチのブイヨン・ド・シュヴルイユとは異なるラーメン的なアプローチで仕込まれており、
鹿スープの味を知らない方だとこのスープのどこに鹿が存在しているのか自体が分からないかもしれませんが、
一般的には鹿骨出汁は牛骨出汁に似ていると例えられる事もあり、コラーゲンが豊富で甘みも強い反面、淡白であっさりとしています。
なお残ったスープのアレンジ術としては、バゲットを浸す、ライスを加えてリゾット風にする、スパゲティやマカロニを入れてスープパスタにするといった一般的な方法の他、
牛乳とコーンを加え軽く煮てポタージュにする、うどんと温玉、粉チーズ、黒胡椒でカルボナーラ風うどんにする、カレー粉を混ぜてジビエカレーにする、といった方法もお勧めです。