「元料理人で現コンサルなラヲタ」全ての宅麺レビュー

全645件のレビュー中 1-25件目


2025年10月01日

こちらはマネーの虎にもご出演されていた「あってりめんこうじ」の店主、小路五郎さんのご子息のお店で、「あってり」というワードでピンとくる方もいるんじゃないかなと思います。
 
ただ本品はあってり麺とは別物で、タレはブレンド醤油がベースですが、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などの旨味成分を食材と調味料から組み合わせる事により、無化調ながらも強烈な旨味の爆発が起こっています。
非常にコク深く濃厚で、また塩分濃度もかなり高く、油分も多い為、無化調とは思えないジャンク感を生み出しています。
またニンニクと生姜も効かされているので、タレ単体でみると生姜焼きのような味がイメージとして浮かぶかもしれません。
 
麺は平打の太麺で、茹で時間は2〜5分と幅広く指定されていますが、2分だとグッチリと粉の詰まった食感となり、5分に近いほどモチモチとした弾力と強いコシが生まれます。
MAX5分茹でても十分な硬さに仕上がるので、ヤワめがお好きな方はもう少し長めに茹でても良いかもしれません。汁無しや油そばの麺は軟らかく茹でたほうがタレとの絡みが向上します。
そしてタレが白っぽくトロトロに乳化するまで最低100回以上はしっかり混ぜ合わせる事で、タレがソース状に変化して麺とガッツリ絡み合い、油そば本来の真の美味しさが生まれます。
 
付属トッピングは説明書きにある通り、チャーシューブロックと鶏コンフィと牛スジのミックスとなっていますが、
タレの中に沈めて一緒にパックしてしまった為にタレの強い塩味までもが染み込んでおり、各々の具材本来の味が分かりづらくなってしまっています。
 
また全体的にも塩味が強くオイリーなので、美味しく頂く為にも必須とされている追加トッピングは不可欠です。
卵黄は味をまろやかに、ヤサイは塩味を中和し、チーズはコクを、ニンニクはパンチを、鰹粉は旨味の相乗効果を、揚げネギは食感の変化を生み出す役割を果たしてくれます。
トッピングを加える前の麺とタレと肉を混ぜただけの状態でまずは味見したところ、トッピングを加えた後に比べて塩味は尖り、
油分も重く、本来の美味しさとは程遠いアンバランスな味だったので、必須トッピング(特に卵黄とヤサイは必要最低限)の乗せ忘れには十分ご注意下さい。
 
ヤサイは店主アドバイスの通り、茹でるのではなく、しっかりと炒めて香ばしさを十分に引き出しましょう。味が濃い為、モヤシは100g(半袋)、キャベツは30gほどあっても良いかもしれません。
ニンニク醤油に関しては、一般家庭だと再仕込み醤油はないかもしれませんが、濃口醤油で代用する場合は、
醤油大さじ1に煮切った本味醂を小さじ1/4ほど加え、そこに刻んだ生ニンニク3〜4粒分和え、密封して冷蔵庫で2〜3日漬け込むとそれなりに仕上がります。
ただし生のニンニクを漬けるので常温保存は厳禁、必ず冷蔵庫で寝かせて下さい。
 
様々な食材との親和性が思った以上に高く、色々なトッピングを乗せれば乗せるだけ美味しくなる汁無し麺となっていますので、お値段分は楽しめるよう必須の具材はしっかりと準備しておきましょう。
というかせめて鰹粉と粉チーズと揚げネギくらいは付属してくれても良かったんじゃないかなと思います。
 
また店主アドバイスのタレを使った炒飯は私からもお勧めします。
炒め油もタレのオイルを使い、肉も具材として加えると、香り立つ絶品の肉炒飯が出来上がります。
炒飯にせずとも残ったタレに追い飯も最高なので、ライスはスタンバイしておきましょう。
 
ただ具材のInスープだけはやはり残念で、折角の食材への拘りもタレの塩辛さのせいで、台無しとまではいかずとも伝わりづらくなってしまった印象です。
油そば系のタレは塩分濃度が桁違いなので、チャーシューなどの具材はラーメンのようにスープと一緒にせず、個別にパックしてもらうよう店側に協力を仰いだほうがよいと思います。

10

2025年10月01日

タレはちばからの乳化スープをベースに魚介とちばから醤油を強めに加えたまろやかな甘旨味。メニュー名は油そばですが、スタイルとしては汁なしです。
魚粉はタレに予め加えられているので量の調節は利きませんが、そこまで強い主張はなく、動物系とのバランスが均等に取れています。
 
麺は自家製の平打縮れ太麺で、ツルモチの弾力とコシの強さにちばからの独自色が感じられます。ただ本品は油そばなので、タレとの絡みを良くする為にも麺は軟らか目に茹でたほうがよいです。
歩留まりが高く表面も溶けやすいので、タレも比較的乳化しやすいと思います。サボらず怠らず、心を込めてしっかりと混ぜ合わせましょう。
 
付属トッピングはInスープで、材木カットのバラ肉ブタが1枚分。実店舗製なのでふっくら軟らかく仕上がっていますが、タレを吸っているせいで味はかなり濃い目となっています。
油そば系の具材はタレの中に入れず、タレと分ける形で個別にパックして欲しいですね。
また店主アドバイスにもある通り、味が濃いのでヤサイトッピングは必須です。温玉乗せや生卵ディップも定番の食べ方としてお勧めです。
 
こちらは以前にも販売されていた同商品から肉カス脂と辛味を抜いたバージョンとなっています。ボリュームは相変わらず半端ないので、2人でシェアするとコスパも高くなると思います。

12

2025年09月24日

スープは白味噌や淡色味噌などを中心にブレンドされた、合わせ味噌ダレのコクまろ味。
じゃぐらの特徴である濃厚な豚骨感は無く、塩分濃度は約2.0%とやや高めながら、麹の甘味も主張する、マイルドで優しいあっさりあまうまな味わい。
トロトロの豚背脂がたっぷりと浮かんでいるものの、生姜も予めほんのりと効かされているため、油分のクドさは感じず、コッテリとしつつも後味は比較的スッキリとしています。
 
麺は三河屋製麺の角刃中太緩ウェーブ。リボフラビンにより黄色味を帯びていますが、純すみ系のような札幌味噌の麺とはタイプが異なり、
平均的な長さのカットとムチコリな弾力、ザクパツの歯切れの良さと噛むほどにスープと融和する小麦の甘味が特徴として表れています。
 
付属トッピングはソフトな味付けで軟らかく煮込まれた豚バラ薄スライス煮と生姜バター。
生姜バターはその名の通り生姜のキレとバターのコクが加わる味変トッピングですが、こちらは別パックなので、生姜が苦手であればトッピングから避けたり使う量を調節する事も可能です。
またナルト巻きとコーンもスープ内に沈んでいます。
 
味噌、背脂、豚肉、生姜、バター、コーンという、食べる前から美味しい味噌ラーメンである事が分かるような魅惑のラインナップですが、
ここにネギ、海苔、味玉、野菜、唐辛子、豆板醤、ニンニク、追いバター、カレー粉などのお好きな具材や調味料を足すと更に沼ります。ライスとの相性も申し分ありません。
 
生姜の作用で身体がポカポカと温まる、寒くなればなるほど恋しくなるような、老若男女に広く愛されるであろうキャッチーな味噌ラーメンですね。
また豚骨が苦手な方、純すみ系のようなパンチのあるタイプ以外を求める方にもお勧め出来る一杯なんじゃないかなと思います。

14

2025年09月17日

スープはコラーゲンもたっぷり溶け出したドロつきのある濃厚トンギョで、タイプ的にはこうじ系や六厘舎系に似たものがあります。
甘味旨味酸味は適度に効かされており、辛味は辛辛魚ほど強烈ではないにせよヒリヒリとした刺激が舌に残るので、辛いものが全くダメという方は念の為注意です。
 
麺は三河屋製麺の多加水角刃太ウェーブ。
瑞々しく艷やかで喉越し良く、グルテンの多いツルムチの強いコシが特徴的。
 
付属トッピングはInスープで、香ばしく焼き、軟らかく煮込まれたブリブリ弾力の豚バラチャーシューブロックが3ヶと、材木メンマが2本。
また別パックで魚介風味の香味油と魚粉が付いてきますので、加える量はお好みで。
 
甘味酸味からはクラシカルなエモさを漂わせつつ、店主は津田沼必勝軒〜中本の出身という事もあり、各々のエッセンスも感じられる味わいとなっています。
辛辛魚で全国的にも有名になりましたが、それもこの骨太なフィジカルの強さとベースの完成度があるからこそ成立する味なのだというのが理解出来る一品だと思います。

5

2025年09月17日

スープは鶏白湯と魚介のWスープで、塩分濃度は約1.7%と濃過ぎず薄過ぎずの程良い塩梅。
鶏と魚介がバランス良く噛み合った臭みのないクリーミーな飲み口で、
しっかり乳化しつつも油分は抑えられており、ややさらりとしたあっさりまろやかな中濃タイプです。
 
麺は自社製のスクエア型角刃中太ストレート。立体感のある太めの正方形で、やや短めにカットされているのが特徴的。
茹で時間2〜3分とありますが、この太さと加水率では2分だと若干芯が残り食感がボソつきます。
3分でもグルテンの変性がやや不十分な感じで、4分を過ぎたあたりから強いコシが生まれ始め、5分弱くらい茹でると麺自体が持つ甘味と中力粉のモチモチとした弾力が活きるようになりますので、
熱湯は最低でも2リットル以上たっぷりと用意し、茹で加減は分単位で確認しつつ好みの硬さであげるようにするとよいです。
 
付属トッピングはInスープで、厚めの豚バラロールスライス、鶏ムネチャーシュー、極太メンマの3品。鶏チャはInスープのため湯煎すると火が通り、硬くなってしまうのが残念。
バラロールは実店舗のように表面を炙ると香ばしくなり、甘い脂もとろけて美味しさが倍増します。
 
鶏白湯魚介といってもパンチや濃度を求めるタイプではなく、味わいはあっさり柔らかで、口当たりや風味、旨味をじっくりと堪能するような一杯となっています。

6

2025年09月10日

スープは鶏ガラを中心に魚介のアシストを加えた無化調醤油清湯。塩分濃度は約2.3%と濃口醤油による塩味が強く、その塩味と釣り合わせるように甘味も強調されているので、味は全体的に濃いめとなっています。
 
あっさりとしていますがコクもあるあまうま味で、良質なA脂を使った甘味ある大粒豚背脂もたっぷりと浮かべられており、一種のトッピング具材として成立しています。
 
麺は自家製の多加水幅広麺。日陰のプロデュース店という事で、小麦の甘味や、もち姫を使った滑らかで官能的な舌触りとモチムチのふんわり軟らかな食感は、まさに日陰譲りといったところ。
 
博多うどんにインスピレーションを受けて作られた麺、というのが本質としてありますが、かんすいを使っているので当然うどんやきしめんとは異なる中華麺ならではのコシがあり、
また麺と未来よりもやはり日陰のほうがタイプ的に近く、筑後うどんのような粘りゴシも持ち合わせています。
麺と背脂の舌触りが同調しているのも面白いところですね。
 
なお麺には打ち粉がしっかりと使われており、茹でている間に勝手に解れてくれるため、箸などで解す必要はありません。
冷凍状態のまま2リットル以上の熱湯に入れてから1:30くらいは一切触れずに完全放置、麺が浮いてきたら軽く沈めて後は時間まで放置くらいのイメージで上手に茹でられます。
 
逆に麺に触れすぎると短く切れてしまったり、麺肌が傷付いて味も食感も劣化するので、下手なちょっかいは出さず、成長するまで優しく見守ってあげましょう。
カタメ茹でも厳禁です。もちふわ食感を愉しむ麺なので、2リットル以上の熱湯で指定時間を必ず守って茹でるのが最重要ポイントです。
 
付属トッピングは香ばしく焼かれた厚切りの豚バラチャーシュースライスが2枚。Inスープの影響か塩辛さを感じますが、脂身はトロトロに軟らかく煮込まれています。
 
また玉葱を乗せると燕背脂系、ネギとニンニクで環七系とありますが、そもそもスープ自体に燕背脂系の煮干感も環七系の豚骨感もないので、味的にはどちらにもならないというのが率直な感想ですが、雰囲気は近付けられると思います。
 
玉葱に関しては、どちらかというと燕系より竹岡式のほうがイメージ近いですかね。味が濃いので、玉葱は大玉なら1/4玉、小玉なら半玉くらいタップリ乗せても大丈夫だと思います。長ネギ&ニンニクも美味しいですが、個人の好み的には玉葱のほうが相性良く感じました。
 
あとブラックペッパーも抜群に合います。富山ブラックのようにたっぷりぶっかけてライスのおかずにするのもアリです。
味が濃いので溶き卵に絡めるスキヤキ風もお勧めです。
 
とにかく麺が個性的ですが、麺と未来、日陰、陰日向が好きな方、福岡のうどんが好きな方など、ヤワ麺の美味しさを理解出来ている方なら好みに合うと思います。

16

2025年09月10日

スープは蝦夷鹿特有の白濁感と甘みが感じられますが、出汁自体は幾つかの動物類と香味野菜など諸々の要素で構成された、複合的なボーンブロスとなっています。
ゼラチン質によるまろやかな口当たりと適度なコクもあり、塩分濃度は約2.2%とカエシの醤油が強く、あっさりとしつつもフォアグラの脂による深みのある濃厚感がプラスされています。
 
ちなみにジビエは臭みがあるという先入観をお持ちの方もいますが、それは捕獲直後の処理技術や解体設備が整っていなかった時代の話で、
現代は捕獲後処理や施設搬送の速度、また解体及び冷凍の技術が進歩している為、鹿に関しても発情期の雄でなければ獣臭といった類はほぼ感じられないと思います。
そもそも鹿は草食動物なので、肉食動物に比べてクセは弱く、特に骨などのガラ部分であれば、鮮度が良ければ獣臭は家畜と大差ありません。
 
麺は平打の角刃中太ストレート。
麺帯は薄めですが、フレンチのヌイユを意識したかのような滑らかな舌触りとモッチリとした食感で、スープの吸い上げも良く、風味と旨味を余すことなく運んできます。
 
付属トッピングは大判の豚肩ロースチャーシューと合鴨胸ローストが1枚ずつ。どちらもカーリーパセリとローストガーリックの効いたブルギニョンソースのようなタレに漬け込まれた、甘みのある濃いめの味付け。
合鴨ローストはねっとりとした食感のブルーレア状なので、生っぽさが苦手な方はスープに沈めて熱を通したほうがよいかもしれません。
 
鹿骨スープといってもフレンチのブイヨン・ド・シュヴルイユとは異なるラーメン的なアプローチで仕込まれており、
鹿スープの味を知らない方だとこのスープのどこに鹿が存在しているのか自体が分からないかもしれませんが、
一般的には鹿骨出汁は牛骨出汁に似ていると例えられる事もあり、コラーゲンが豊富で甘みも強い反面、淡白であっさりとしています。
 
なお残ったスープのアレンジ術としては、バゲットを浸す、ライスを加えてリゾット風にする、スパゲティやマカロニを入れてスープパスタにするといった一般的な方法の他、
牛乳とコーンを加え軽く煮てポタージュにする、うどんと温玉、粉チーズ、黒胡椒でカルボナーラ風うどんにする、カレー粉を混ぜてジビエカレーにする、といった方法もお勧めです。

15

2025年09月10日

まず形としてはキーマなのですが、ドライカレータイプとは異なるトロリと汁気を残したタイプで、玉葱や煮込まれたトマトの甘みと優しい酸味がまろやかな味わいを作り上げています。
 
粗挽きのブリッブリな豚挽肉に加え、シマチョウは食べやすいサイズに揃えられており、ムッチムチの弾力とゼラチン化したコラーゲンのネットリとした舌触り、そして噛めば噛むほどに脂身の甘味がジューシーに溢れ出てきます。
 
イノシン酸のコク深い旨味も特徴的で、スパイスは素材の味を引き出す穏やかな配合となっており、辛味もマイルドに抑えられています。
 
ちなみに牛の腸は胃側から順にマルチョウ(小腸)、メンチャン(盲腸)、シマチョウ(大腸)、テッポウ(直腸)とあり、胃に近いほど食感が軟らかく脂も乗り、遠くなるほど弾力が強く脂が少なくなります。
 
ライスは深い甘味とモチモチの食感が汁気のあるキーマと相性良く、口の中でホロリと解れます。
 
なお塊状のため湯煎解凍は向かず、レンチンも袋のままだと端部分の加熱が先に進み硬くなる場合があるので、
可能であれば一旦耐熱用タッパーに移してから蓋をしてレンチン、途中で一度解してから再度蓋をしてレンチン、という方法をお勧めします。
こうする事で内部の加熱不足や糊化、過加熱による表面部分及び端部分の水分蒸発を防ぎ、ふっくら瑞々しい状態に仕上げる事が出来ます。
 
付属スパイスは肉料理と相性の良いナツメグも使われており、香りを足したい方は量を調節して加えると良いです。
チリペッパーやブラックペッパーなどは含まれていないので、辛味が苦手な方でも安心して使えます。
 
牛もつキーマという事で、内臓系の独特の食感に抵抗のある方だと如何ともし難いですが、臭みなどの類はなく、キーマ自体は非常に穏やかで滋味深い味わいとなっています。
とにかく素材の良さと脂身の豊かな旨味が光っており、挽肉だけでは味わえないジューシーなキーマカレーになっていると思います。私はモツ焼きとモツ煮で延々呑めるクチなので、こちらもドストライクです。

5

2025年09月03日

スープはあまうまながら醤油もキレた微乳化タイプで、半分近くを液状油が占めており、アブラが多い分塩味を感じにくくなっていますが、
塩分濃度は約3.8%と海水よりも強い上、Brix値は約15.8%と糖分もかなり高いので、ヤサイがないと相当厳しい戦いになると思います。
 
麺はうねりの強い低加水角刃極太平打麺。特に細いような印象はありませんでしたが、インスパイア系らしい粉の詰まったグッチリ感とムチムチブリブリの強い弾力が楽しめます。
 
付属トッピングはInスープで、迫力サイズのウデ肉ブタがゴッツい塊でドーンと1塊+小ブロック数個。
ウデ肉特有のややギュチ食感で、箸でホロリと崩れるヤワブタではなく、豪快かつワイルドにかぶりつく肉感溢れるタイプ。
 
味付アブラはブタカスも程々に加えられており、ブタとあわせてヤサイがたっぷりと食べられます。
別皿に取って麺をディップする食べ方もありますが、本品はスープ自体の塩度が高く、更に塩と油をブーストするような形になるので、ヤサイのドレッシングとして使うのが無難です。
 
なお溶いた生卵に麺を絡めて食べるすき焼き風については、強い塩分と油分をまろやかにしてくれる為、逆にお勧めです。
 
俺道出身という事で、味的にもスタイル的にも富士丸を源流とした荘グループ系のフォーマットとなっています。
麺もブタもアブラもパワフルな上、俺道よりも攻めた濃口なので、食べ応えは申し分ないと思います。

17

2025年09月03日

スープは豚骨100%で、メインのスープに新しいスープを継ぎ足し、長い年月をかけて仕込まれた呼び戻し式。
なので熟成した豚骨特有の匂いはありますが、豚頭は使っていないため、ビッグワンや来久軒のような強い匂いはありません。
 
豚のゲンコツと水だけを羽釜で炊き上げ旨味を抽出し、ラードは使わずガラのみで乳化させる事で、
コラーゲンたっぷりの、濃厚ながらあっさりとした、骨粉の沈むまろやかクリーミーなド乳化純正豚骨スープが作り上げられています。
 
ちなみに羽釜は釜底がカーブしている分対流が起こりやすく、強火で炊いても鍋底に当たりにくい(焦げ付きにくい)ため、スープが効率的に乳化しやすく、
久留米ラーメンやムテ系のような濃度の高い豚骨スープを仕込むお店では昔から好まれています。
 
カエシは薄口醤油と塩のみのシンプルな構成で、塩分濃度は約1.9%、糖分濃度は約6.9%と、刺激の少ない優しい味わいのチューニングとなっており、
また香味油も使われていない為、マイルドながら熟成された豚骨の風味と旨味をダイレクトに感じられる味わいとなっています。
湯煎が終わった直後は油分が分離しているので、開封前に最低50回以上はシェイクして、きちんと再乳化させてから丼に注ぎましょう。
 
麺は円形の丸刃中細ストレート。九州のラーメン=切刃28番手の極細麺という先入観を持たれがちですが、実際は博多や長浜以外の地域では寧ろ中細〜中太のほうが主流で、
本品も切刃24番手程度の中細麺となっており、佐賀ラーメンではもう少し太い中太タイプを使うお店も数多くあります。
 
また博多や長浜のような低加水でもなく、中加水ながらナトリウム主体のかんすいをボーメ度低めに調節しているような食感で、低加水の極細麺とは一味違ったモチプリコリバツの弾力が生み出されています。
 
なお佐賀ラーメンは軟らか目なのも特徴的で、いちげん実店舗でも通常はヤワメの茹で加減で提供されます。
カタメ茹では麺の構造的に合わず、独特のコシを引き出せない上にスープとの絡みも悪くなるので、カタメがお好きな方もせめて指定の茹で時間内で調節しましょう。
 
付属トッピングは豚モモチャーシューの薄スライスが2枚。
昔ながらの煮豚タイプで、薄切りながらも豚モモ肉特有のモチモチとした弾力と旨味が感じられます。
 
ちなみに佐賀ラーメンは徳島ラーメンと同じく生卵のトッピングが人気で、いちげんでは卵黄が使われていますが、佐賀ラーメンの中にはテルテルのように全卵を選べるお店もあるので、そのあたりはお好みで。
 
ただ卵白は約9割が水分で出来ており、スープを薄める上に温度もぬるくなり、口当たりも匂いも変えてしまうので注意しましょう。
卵黄もスープにコクを与える反面、最初からスープの中で崩してしまうとスープ全体の味が変わってしまい、
元に戻す事もリカバリーも出来なくなるので、いちげん実店舗ではレンゲの上で卵黄を崩し、麺を絡める様に食べる事をお勧めされています。
 
また海苔をトッピングする場合は実店舗と同様に口溶けのよい有明産を選ぶとよいです。ラーメンには乗せず別添えにし、食べる際にしっかり浸してスープを吸い込ませ、ライスと一緒に食べると軽く飛びます。
 
おろしニンニクも佐賀ラーメン定番の味変アイテムです。お腹に余裕のある方はマルタイ棒ラーメンで替え玉を。
但し佐賀ラーメンでは久留米ラーメンと同じ様に中太麺が使われる上、せっかくの濃厚スープも薄めてしまう為、基本的に替え玉は提供されません。
 
いちげんは袋麺も商品化されており、佐賀ラーメンの中でも全国的にネームバリューのあるお店ですが、
佐賀ラーメン自体が初という方も、とりあえず最初は卵黄を乗せてみて、佐賀ラーメンの人気スタイルを体験する事をお勧めします。
などと言いつつ、私は佐賀ラーメンのお店では常に卵無しで頂いています(笑)。どのお店も基本的には卵有りと無しでメニューが分かれているので、乗せるか否かは好みで良いと思います。

18

2025年09月03日

スープはじゃぐら感のある味噌ブレンドで、甘味、旨味、酸味をベースとした、中濃ピリ辛のあっさりまろやかな味わい。
イメージとしては胡麻の香ばしさとブラックペッパーの効いた、ごまだれ味の冷やし中華的なテイストです。
冷やしラーメンなのでスープの湯煎は当然NG。冷蔵庫で一晩解凍するか、若しくは水を張ったボウルにパックを数分浸しておけば、手早く経済的に解凍出来る上、パックを浸しておいたボウルの水はそのまま麺洗い用の冷水としても再利用できます。
 
麺は多加水の角刃太縮れタイプで、冷水で締める事によりブリッブリのムッチムチな強い弾力を引き出せます。夏場は氷水でしっかりと冷やしましょう。
冷水を張ったボウルの中で麺のヌメリと粗熱を取り、水を2〜3回入れ替えて最後に氷を加えれば無駄なく上手に冷やせる上、水道代の節約にもなります。
 
付属トッピングはInスープでしっとり軟らかい拍子木切りチャーシューがたっぷり。胡瓜をアッシェしたキュウリソースは爽やか且つクリーミーで、瑞々しいマヨネーズのようなイメージ。こちらもスープパックと一緒に冷水か冷蔵庫で解凍しましょう。
味変にはお酢やカラシといった冷やし中華に使うような調味料が良く合います。刻み海苔、大葉、茗荷、ネギ、カットトマト、錦糸玉子なども相性よいですね。
 
なおスープが残ったら冷飯を入れて冷や汁風にするのが定番ですが、素麺や流水麺で替え玉というのもお勧めです。
 
ちなみに実店舗の味に近付けるコツとしては、
・お皿は冷凍庫で冷やしておく
・麺はしっかり茹でた後に氷水で冷たく締める
・コーンは冷凍してからトッピングする
・もやしは茹でた後に冷蔵庫か氷水にさらして冷やす
・仕上げにクラッシュアイスを散りばめる
 
などが挙げられます。
とにかく食器も食材もキンッキンに冷やすのが美味しく作る重要なポイントです。

14

2025年09月03日

タレは濃口の醤油ベースで、節の風味と昆布の旨味によるあまうまな味わい。刻み昆布は予めタレに加えられた状態で、すり胡麻と黒胡椒も効いており、カメリアラードが香る香味油が強いコクを与えています。
 
麺は角刃極太ストレート。モチプリの強い弾力で、瑞々しい甘味がタレとの相性の良さを感じさせます。
まぜそばなので、やや長めに茹でてモチモチ感を出し、タレが乳化するまでしっかり混ぜ合わせるのが美味しく作るコツです。
 
まずはタレと麺のみを色ムラが無くなるまで入念に混ぜ合わせ、トッピングのない状態で数本食べて刻み昆布の旨味をストレートに味わい、
その後にトッピングを乗せて更に混ぜ合わせると、タレを乳化させやすい上に1食で2段階以上の味の変化を楽しむ事が出来ます。
 
台湾ミンチは粒が細かくしっかり煮込まれたややジューシーな肉味噌タイプ。山椒の爽やかな痺れと香り、ピリリと鋭い唐辛子の辛味が清涼感も演出しています。
 
その他付属トッピングとして魚粉と刻み海苔も付いてきます。
味変用のマヨネーズ、お酢、唐辛子などはお好みで。
 
そして麺が終わったら追い飯やスープ割で〆るのが台湾まぜそばの醍醐味です。お店のような割スープを仕込むのは一般家庭では難しいですが、鶏ガラスープの素をお湯で薄く溶いたインスタントスープで代用するという方法もあります。
 
なお台湾まぜそばという事で、刻みニラの追加トッピングは必須です。タレのみだと味が濃すぎて実物の味を再現出来ないため、卵黄、玉葱、ニンニクといったその他最低限の追トピも調理開始前に準備しておきましょう。
 
あびすけの台湾まぜそばは魚粉が特に多く、台湾ミンチも個性的な為、はなびやこころなどのベーシックな元祖台湾まぜそばとはタイプがやや異なります。
魚粉はバランスブレイカーな調味料で、何に使っても魚粉の味しかしなくなってしまう為、使う量は好みに応じて調節するとよいです。
また油そば的な要素もあるので、作り手がどれだけ追加トッピングと味変を加えられるかで、美味しさは無限大に広がると思います。

14

2025年08月20日

スープはオマールヘッドをブランデーで焼き上げ、そこに一燈のベースである鶏スープとブーケガルニを合わせ、しっかり濾した後にトマトペーストで整えたビスク・ド・オマール風。
香ばしい海老の風味、鶏とトマトの濃厚でまろやかな口当たりと柔らかい酸味、セロリの爽やかな香りがビスク感のある味わいを作り上げています。
ビスク・ド・オマール風といえば、海老丸さんのラーメンも宅麺からリリースされていますね。
 
ちなみに「ビスク」とは、現代では「甲殻類を使ったポタージュ」を指すのが一般的で、ビスク自体にスープの意味が含まれているため、「ビスクスープ」というのは二重表現に当たります。
例えるなら「味噌汁スープ」や「お粥ライス」と言うのと同じ事なので、「スープ」は付けずに「ビスク」とだけ呼ぶのが正しい表現です。
 
麺は多加水のスクエア型角刃太ストレート。粉の詰まった非常にコシの強いガチムチの食感で食べ応えがありますが、量は茹で前で約150gとつけ麺にしては少な目です。
 
昆布水は綺麗な桜色をしており、海老がほんのり香るまろやかな優しい味わい。一口目はスープに浸さず、まずは麺と昆布水のみで味わってみましょう。
 
次に付属のバジルソルトを麺にパラっとかけて頂くと、塩との対比効果により麺の甘味がグッと引き立ちます。
 
ソース・ピストゥにはトマコンも加えられており、麺に絡めるとしっかりとした酸味とニンニクの風味が味にメリハリを与えてくれます。
 
ちなみに「ピストゥ」とは、端折って説明するとフランスのプロヴァンス地方の言語で、フランス公用語で言う「パテ」、英語で言う「ペースト」を意味します。
つまりバジルペースト(練り物)の事で、これに松の実を加えるとイタリア料理の「ペスト・アッラ・ジェノヴェーゼ」になります。
本来ソース・ピストゥにもペスト・ジェノヴェーゼにもトマトは使わず、バジルはもっと量を使うので、こちらは独自のアレンジが施されたピストゥ風のタレ、という事になります。
 
フライドオニオンはスープにコクと甘味、ザクザクとした食感を与えてくれますが、〆のリゾットにも使えるので、つけ麺に全部使わずに少々残しておくとよいです。
 
海老は有頭のバナメイが2尾。ボイル済みで殻も剥かれていますが、有頭は鮮度が落ちやすいので、冷凍でも賞味期限を守ってなる早で頂きましょう。
 
麺が終わったらライスをレンチンしてスープをかけ、チーズを散らして〆のリゾットが完成です。
チーズは軽く炙ると香ばしさとコクが加わるのでお勧めです。先述のフライドオニオンも好相性なので、こちらにもトッピングしましょう。
ブラックペッパーや付属のバジルソルトも味を引き締めてくれます。
 
なお一通り味変して麺や昆布水を浸した後のスープは色々な味が混ざり濃度も薄くなっている為、リゾットを濃厚な状態で頂きたい場合、スープは食べる前につけ麺用とリゾット用に予め分けておくとよいです。
ただ昆布水で割った後のスープも旨味甘味がブーストされており、この状態でライスを投入するとリゾットというよりサラサラの雑炊状になりますが、それはそれで文句無しに美味しく仕上がります。
 
様々な味変が楽しめるテーマパークのようなつけ麺で、一杯としての満足度は非常に高く、これだけの味変アイテム数なので麺が足りなく感じられますが、
各々の味変をじっくり楽しみながら頂くと、〆のリゾットまで含めて最終的には中々のボリューム感になると思います。

19

2025年08月20日

スープのベースは店主出自の蓮爾登戸店に似た、豚の肉から出汁がしっかりと出た甘口の非〜微乳化豚醤油。
そこに小エビを揚げた海老油と揚げ海老が加えられており、食欲をそそるエビの香ばしいフレーバーがスープ全体に馴染んでいます。
 
ただ塩分濃度は約2.9%と海水に近く、Brix値も約29.8%とフルーツ缶並の糖度な上、スープのほぼ半量を液状油が占めているため、ヤサイは最低限乗せて油分を中和させないと味がよく分からないと思います。
画像の通りスープをレンゲで掬ってもほぼアブラしか流れ込んでこないレベルなので、油量が気になる方はスープを丼に注いだ後に液状油のみ2/3ほど掬い取ってもよいかもしれません。
 
麺も蓮爾系ならではの自家製低加水角刃平打超極太オーション麺ですが、登戸よりも若干スリムで食感にも多少の違いがあり、芯の残ったボキボキ感はあるものの、麺外周にはモチフワの弾力も感じられます。
蓮爾系のハードな硬さがお好きな方なら4分茹でくらいが推奨出来ますが、現在のゼンゼンにはハリボーという更にカッチカチな極硬仕様もあるようですね。
 
付属トッピングはしっとりホロホロに煮られたウデ肉のブタが2つ。Inスープのためブタにもエビの風味が移っています。
また揚げエビもゴッソリ大量に沈んでおり、香ばしくザクザクとした食感がアクセントになっているので、サルベージしてヤサイと一緒に頂くとよいです。
 
「M.O(町田オリジナル)」は、二郎町田店元店主(現・らぁめん大山店主)の影島さんが、自身の出身地の名産である駿河湾の桜海老を二郎のスープに合わせて生み出した伝説のメニューで、本品もそのM.Oをリスペクトしたラーメンとなっていますが、
こちらには桜海老ではなくアキアミなどの小エビが使われており、どちらかというとM.Oというより町田二郎の系譜である蓮爾登戸店のえびラーメンのほうがイメージ的に近い気がしました。

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2025年08月20日

スープは鶏をベースとした無化調動物魚介白湯で、そこに芝麻醤をあわせたまろやかな日式担々タイプ。
町中華のケミカルな濃い旨味と異なるナチュラルな柔らかい旨味が特徴的で、塩分濃度約1.8%の若干高めな塩味、キリッとした酸味、ピリっと仄かな辛味が味わいにスッキリあっさりとしたキレを与えています。
またモミジのコラーゲンもスープ表面に膜が張るほどに溶け出しており、濃厚でネットリとした口当たりが加わっています。
湯煎をかけ過ぎると分離して復元不能となるため、指定時間以上の湯煎は避け、しっかりとシェイクしてから丼に注ぎましょう。
 
麺は加水率やや低めの角刃細ストレート。日式拉麺と中華白麺をかけ合わせたような自家製麺で、スープの持ち上げが良く、コリパツの歯切れの良さとしなやかなコシを持ち合わせています。
 
付属トッピングはチャーシュー1枚、炸醤、赤唐辛子、花椒の4種。
チャーシューはやや厚めの豚バラスライスで、箸で持ってもギリギリ崩れないくらいの軟らかさと程良い塩味旨味の味付け。
炸醤は豚の粗挽肉を使ったあまうま味で、炸醤自体にもシビカラの麻辣味が施されており、スープに溶かすとコクがグッと深まります。
 
花椒は自家挽きのようでやや粗く、痺れの強い熟した赤花椒ではなく、フレッシュで爽やかな香りの青花椒が使われています。
赤花椒ほどの麻味ではないものの、花椒に慣れていない方は少しずつ足して量を調節するとよいです。
赤唐辛子も強い辛味ではないので、激辛好きの方には物足りないかもしれません。
 
スープ量はたっぷりなので、沢山食べたい方は雑炊用のライスや替え玉も用意しておくとよいです。
無化調の担々麺なのでジャンク趣向にはパンチ不足に感じるかもしれませんが、職人観点だと担々麺を無化調でこれほどのクリアな旨味に仕上げる技術に作り手の労力を感じます笑

17

2025年08月20日

タレはクリアな醤油ベースで、豚背脂や鶏油に生姜の香りを移した香味油のまろやかな味わい。
醤油返しにも香味油にも煮干が効いていますが、ドロドロとした粘度はなくサラサラとしており、煮干をガツンと効かせたタイプではなく、風味と旨味のみを濃密かつ上品に抽出しています。
 
また苦味やエグみなどもなく、煮干のクセは背脂の旨味甘味が包み込んでいますが、こちらの冷凍版では豚背脂は液状と粒状がタレに予め加えられた味付アブラ状態となっており、オイリーでパンチが強く効いています。
 
麺は三河屋製麺の角刃太麺。緩く縮れの入ったスクエア型で、粉の詰まったムチグチ食感。タレの吸い上げが良く、手早く混ぜ終えないとムラになるので注意です。
なお本品は油そばなので、タレが乳化し汁気が無くなるまでしっかり入念に混ぜ合わせるのが美味しく頂くコツです。
先に麺とタレだけを混ぜ合わせ、汁気が無くなってから他のトッピングを加えて再度混ぜるようにすると、混ぜムラも出ず効率良く上手に仕上がります。
 
付属トッピングは煮干粉と、厚めにスライスされた低温調理のレアチャーシューが2枚。
しっとり瑞々しい鶏胸肉と軟らかくも弾力のある豚肩ロースが1 枚ずつで、拍子木切りにすると麺に絡みやすく、卵黄と和える事でユッケのような味わいになります。
 
なので卵黄は必須で追トピしましょう。刻み玉葱とカイワレも多めに入れるとよりあっさりと頂けます。
追トピ無しだと油分が強く主張し、商品本来のバランス感が崩れてしまうため、最低でも卵黄、玉葱の2つだけは加えたほうがよいです。
その他好みに応じて、お酢、ラー油、ネギ、海苔、胡麻、メンマなど加えて、自分なりの一杯に仕上げるとよいと思います。
 
こちらは宅麺でも販売されている人気店、つきひ@亀戸のプロデュースした油そばとなっており、つきひらしい煮干の風味と旨味が凝縮した味わいとなっています。

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2025年08月06日

スープは臭みのない豚骨醤油で、カエシの味からは二郎インスパイアを意識したカネシ緑ラベルの存在を感じますが、塩分濃度は約2.3%、Brix値は約11.1%とインスパ系の枠内では比較的やや薄口で、上品かつあっさりまろやかなあまうま味となっています。
画像で分かる通りの微乳化タイプですが、食べ進むにつれ麺のデンプンがスープに回り、乳化が進むと共にまろみが増してゆき、最終的にはクリーミーな乳化状態となります。
 
別パックのカラメを追加すると、そこに塩味のキレが生まれ、甘味旨味もより濃くなり、全部足すと完飲困難なレベルのインスパ系らしい強烈な濃口となります。
ちなみに二郎系の「カラメ」はヤサイの上からかけるのが一般的な使い方なので、モヤシとキャベツはたっぷりと用意しておきましょう。
 
麺は角刃極太平打縮れ麺。オーション配合の色合いとグルテン性を感じる直系っぽいプリモチの弾力性ですが、伸びにくさも持ち合わせており、加水率もボーメ度も二郎インスパ系の中では独自色のある配合になっていると思います。
またピロピロとした規則的な強い縮れ方も特徴的で、噛む場所による食感の違いもアクセントになっています。
 
付属トッピングは個別パックの刻みニンニク、味付アブラ、そしてInスープで極厚サイズのブタが2枚。
ホロギュチのウデ肉とブリブリのバラロールが1枚ずつで、どちらも筋繊維に適度な反発力があり、角煮のような軟らかフワトロタイプではありませんが、
ph調整や煮込み過ぎない事で保水と肉自体の旨味を逃しておらず、味付けも濃すぎず薄すぎずの程良い塩梅。
 
味付アブラも背脂の弾力を残してあり、スープ、麺、ブタ、アブラの全てが素材本来の旨味と食感を活かした調理法となっています。
 
5〜6年前に頂いたチヒ郎やベジ郎とは別タイプでしたが、当時のバージョンと比べたら典型的な二郎インスパのイメージに寄った印象です。
ただ個性という面では八咫烏式二郎系と同じようなアプローチに感じられ、二郎インスパ系という一般的な型にピッタリはめる事なく、独自の解釈で表現したオリジナリティの高い一杯になっていると思います。
 
なおトッピングは海苔、ネギ、ほうれん草、玉葱、ウズラなどの家系・商店系装備も合いそうですね。
ヤサイと味付背脂は別皿でアブラサラダにしたり、ブタはご飯に乗せてカラメをかけてチャーシュー丼にしたり、スープとカラメだけ使ってつけ麺にアレンジしたり、使い方次第で色々な楽しみ方が出来そうです。

17

2025年08月06日

スープはド乳化タイプの濃厚豚骨醤油。麺がスープに沈みにくいドロっともったりした粘度があり、豚骨の臭みもなく、鶏ガラのコラーゲンも相まって口当たりはねっとりとしています。
また塩分濃度は約2.7%と高く、甘味旨味もしっかり効いているものの、バランス的にはキリッとした塩味がやや勝っています。
 
麺は加水率やや低めのスクエア型角刃細ストレート。久留米系に多少寄ったイメージもありますが、博多や長浜の麺とはタイプが異なるので、
変に硬めにせず指定時間通りしっかり茹でたほうが持ち味を充分に発揮出来ると思います。
 
ただ豚骨ラーメンの麺は奥歯に残るようなギシギシのバリカタこそ正義だという方は、最短の指定時間より10〜20秒ほど早く茹で上げるのもアリかもです。
200gもの大盛りサイズなので、普通のペースで食べている内に麺がスープを吸水して、後半は程良い硬さになると思います。
 
付属トッピングはInスープで、2cm厚の分厚いバラチャーシュースライスが1枚。
ホロホロに軟らかく煮込まれた万人に好まれるタイプで、食べ応えも申し分ありません。
 
本品は宅麺で販売されているscLaboの別商品「豚骨ラーメン」の細麺アレンジですね。
ただ豚骨といっても博多や久留米のようなタイプとは一味違い、出自のちばから系やムテ系も感じさせるような味わいで、
味もそのまま飲むには塩辛さが立っているため、トッピングはネギやキクラゲ、紅生姜以外にも、ほうれん草であったり、またF系のように茹でキャベツを乗せて頂くのも合うと思います。
 
ちなみにニンニク、胡椒、唐辛子は勝ち確なので、お好きな方は必須で用意しておいたほうがよいです。
私は香川本鷹という旬の唐辛子で仕込んだ辛子高菜を終盤に加えて、福岡チックな味変を楽しみました。

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2025年07月30日

スープは無化調の動物魚介ベース。塩分濃度は高めの約2.0%で淡口醤油ブレンドのキレがあり、馥郁とした煮干の香りが鼻孔をくすぐります。
そもそも節や動物系との旨味の組み立ても秀逸なのですが、やはりせたが屋系譜の煮干感というのが大きな特徴として表れている思います。
また少量浮かべた背脂粒の甘味も良いアクセントで、豚鶏油が旨味とパンチの後押しになっています。
なおスープ温を沸点近くまで上げると魚介の風味が飛んでしまうため、熱々にし過ぎないよう、湯煎の温度とかけ過ぎには注意しましょう。
 
麺は菅野製麺所の全粒粉入り低加水角刃細ストレート。
歯切れの良さとは異なるムチコリの弾力性で、ブランの香ばしさと舌触りがスープの煮干感と絶妙にマッチしています。
奈つやの美味しさの決め手はこの麺とスープのマッチングの妙にあると思っています。
 
付属トッピングはたまり醤油で褐色に染まった甘旨メンマ、トロトロに軟らかいバラスライス煮豚、香ばしい吊るし焼きの肩ロース焼豚、そして雲呑が2ヶ。
やや厚みのある雲呑はもち小麦を使ったトゥルントゥルンの舌触りとモッチモチの弾力で、その中には生姜の効いたジューシーな豚肉餡が詰まっています。
解凍は冷蔵で。解凍前に乱暴に扱うと皮が割れてしまい、解凍後も雲呑同士を強引に剥がそうとすると破けてしまうので、優しく丁寧に扱いましょう。
 
奈つやは味は勿論のこと、接客と雰囲気の良さも人気の所以の一つだと感じています。
ハードルの高い超人気店なので予約を取るのも大変ですが、ここは冷凍品よりも実店舗の実物を一度は頂いておく事をお勧めします。
 
あとあまり語られる事もありませんが、個人的には奈つやのメンマは全国的に見てもトップクラスの逸品だと思っています。
硬くも軟らかくもない絶妙なミディアム食感にスッキリとした甘味と旨味、深いコク。麺を待ちながらメンマを摘みつつ黒ラベルで一杯、というのが個人的な奈つやの醍醐味です笑

15

2025年07月30日

スープはクリアに澄んだ、がんこでは通称「上品」と呼ばれる動物魚介の塩清湯。背黒と烏賊の煮干に昆布の濃い旨味が独特で、
塩分濃度は約2.7%と一般的なラーメンに比べて非常に高く、がんこらしいキリッとした強い塩味となっています。
 
がんこ系が初めての方はこの塩辛さに驚かれるかもしれませんが、このしょっぱいスープこそがんこ系の特長で、東京のニッチなラヲタ界隈では昔からカルト的な人気を博してきたのですが、
濁った牛骨ベースにカエシを加え更に塩辛くした「下品」と呼ばれる濃厚ショッパースープや、下品を上回る「悪魔」という超々ショッパーなラーメン限定の金曜日は、家元から一見ぽいお客さんに「今日は悪魔だから物凄くしょっぱいよ」と注意喚起されているシーンを西早稲田時代の店内で何度か見てきました。
 
麺はサッポロめんフーズの黄色味が強い角刃中細ストレート。
がんこをイメージしたボキボキのカタメ食感に仕上げるなら、茹で時間は指定よりも短い50秒程度でもよいかもです。
 
付属トッピングは紫蘇油、豚肩ロースチャーシュースライス2枚、魚介風味のコリコリメンマ。
紫蘇油はスープの塩味に負けないパンチがあり、青紫蘇の爽やかな香りがスープに清涼感を与えてくれます。
この紫蘇油はいきなり加えず、最初はスープを素の状態で味わい、途中から味変で量を調節しながら足してゆくとよいです。
 
現在の四谷実店舗では紫蘇塩を頂いた事はなく、しそ塩は町屋にあったがんこ八代目で頂いた事がありますが、本品は八代目のしそ塩とはまた別の味わいで、
宅麺CK製というのも関係しているのかがんこにしては出汁感の弱さが気になったものの、ショッパーな塩味はちゃんとがんこでした。
 
ちなみにご勇退されたがんこ創業者の一条家元は東京のラーメン界では大勝軒の山岸マスター、二郎の山田総帥と並ぶ昭和のカリスマで、私も30年くらい昔は牛骨がぶら下がった黒テントへ集団催眠のように吸い込まれてゆく客の一人でした笑

20

2025年07月30日

スープは黒さつま鶏、みやざき地頭鶏といった銘柄鶏のガラと丸鶏をベースに、いりこや羅臼昆布などの魚介を合わせた無化調淡麗醤油清湯。
塩分濃度は約1.8%ですが、塩味の強さは感じさせず、生揚げ醤油のキレと再仕込醤油のコクと甘味、嫌味のない爽やかな酸味などが出汁の旨味と重なり、繊細かつ厚みある澄んだ味わいを作り上げています。
 
麺はスクエア型角刃細ストレート。はるゆたか、春よ恋、きたほなみ、さぬきの夢といった高級国産小麦をブレンドした自家製麺で、
豊かな香りと優しい甘味、シルキーな麺肌としなやかなアシの長さ、プリコリからモチフワに変化する独特の食感が特徴的です。
 
付属トッピングは茎と穂先の繋がったミディアム食感のメンマと、チャーシューはスチコンで中温蒸しした豚バラロールスライスに、香ばしく吊るし焼きした豚外モモ厚スライスが1枚ずつ。
いずれも素材を活かす淡い味付けで、スープに脂身が溶け出すことで味変の役割も果たしてくれます。
 
クリアで深みある琥珀色をしたスープは表面に芳醇な香りの鶏油がキラキラと輝き、味も見た目も非常に美しい、まさに美術品のような一杯となっています。
ラヲタなら誰もが知っている超名店なので、淡麗系がお好きな方なら外せないチョイスになると思います。

13

2025年07月30日

スープは帆立と滋賀県産淡海地鶏をふんだんに使用した鶏豚魚介。
塩分濃度は約1.9%とやや高めながらも、動物出汁の濃厚な旨味、帆立と白醤油のコクのある甘味が調和する事で、塩味の強さは感じさせず、
むしろ適度に乳化したまろやかな口当たりながら、味わいは非常にあっさりとしています。
 
スープの表面には黄金色の帆立鶏油と和歌山産ぶどう山椒の山椒油が気高く香り、僅かな痺れがスッキリとした清涼感も与えてくれます。
また帆立鶏油に加えられた帆立干し貝柱のほぐし身もスープに沈んでおり、これもひとつの具材として成り立っています。
残すのは勿体ないので、スープ完飲は出来なくとも、帆立の身だけはレンゲで掬って頂きましょう。
 
麺は自家製で平打気味のワイド型角刃細ストレート。
麺肌の微細な凹凸がスープを持ち上げ、コシの強いモチムチ食感と熟成感のある旨味があっさりコクまろなスープとマッチしています。
 
ちなみに小麦粉は純麦と同じ「せときらら」という品種が使われていますが、こちらはアミロース含有が低めなため粘性がやや高く、しっかりとしたグルテン形成が特長で、
平打麺に瑞々しい甘みと滑らかな麺肌、モチモチの弾力、伸び知らずの強いコシを生み出しています。
 
付属トッピングはやや甘口で歯応えの強いゴリシャキ食感の座布団メンマが2枚と、豚肩ロースを低温調理し表面を香ばしく炭火焼きしたモッチリ軟らかジューシーなレアチャーシューが2枚。
 
ガラ、海産物、小麦粉、調味料といった各食材が西日本産を中心に構成されており、独創性もピカイチ。スープ、麺、トッピングの全てにおいて斬新かつ統一感のある一杯となっています。

15

2025年07月23日

スープは豚骨と鶏ガラを別々の鍋で炊き上げるWスープ方式の豚骨醤油。パワフルながら重みはなく、直系よりもやや雑味の抜けた上品さも感じる味わい。
塩分濃度は約2.1%と強めの塩味にほのかな酸味も感じられる醤油のキレに、Brix値は約13.0%とガラ濃度も高く、適度に微乳化したまろやかな口当たり。何より濃厚な親鶏の鶏油が味の決め手となっています。
 
麺は逆切り角刃平打中太緩ウェーブ。直系店と同じ酒井製麺の杉印で、吸い上げが良く、ヤワメ茹でが活きるモチフワの食感。
長さは約14センチと一般的な中華麺の半分くらいの短さですが、スープを拾いすぎず啜りやすい、家系のコッテリスープに合わせたベストな寸法となっています。
 
付属トッピングは豚モモ肉のチャーシューが3枚。特注の焼釜でじっくり吊るし焼きした焼豚で、しっとりモチムチの程良い燻香を残した直系スタイル。解凍は余計な熱を通さないよう、湯煎よりも流水のほうがベターです。
また板海苔も3枚付いてくるので、ライスは欠かさず用意しておきましょう。ほうれん草などの青菜とネギは付きませんが、絶対必須なので、事前準備を忘れずに。
 
飛粋は都内トップクラスの家系と言われる、ラヲタなら誰でも1度はお店に行っているであろう超絶人気店ですが、
濱野家、野良裏家、裏大輝家、そして飛粋と、最近の宅麺の家系ラインナップは隆盛の一途を辿っていますね。
 
 
ちなみに注意点として、麺は前日からの冷蔵解凍をお勧めします。
冷凍生麺の冷蔵解凍は結露や乾燥による品質劣化を招きやすいので本来はNGとされていますが、冷凍した酒井製麺の家系麺は麺同士がくっついている事が多いため、
解凍後に麺を解してから茹でたほうが、いくら茹でても麺が解れないという状態を未然に防ぐ事が出来ます。
 
解凍のタイミングは調理前日晩、若しくは当日朝に冷蔵庫へ移し、約8〜12時間程度かけてじっくり解凍が大体の目安です。常温解凍だけは絶対にやめて下さい。
解凍出来たら麺同士を優しく剥がすように解し、乾燥しないよう手早くばらけさせ、解したら放置せずすぐに茹でましょう。
茹でている間も強引に解そうとすると簡単に千切れてしまうので、優しく丁寧に扱うのがポイントです。茹で始めたらなるべく触れず、対流で自由に泳がせてあげて下さい。
触れれば触れるほど麺が傷付き、食感が悪化して伸びやすくもなるので、茹でながら箸でちょこまか弄るような行為だけは絶対にNGです。

18

2025年07月23日

スープは豚と鶏のガラを沸かさず丁寧に炊き上げた醤油清湯。
くっきりと澄んだあっさり仕立てで、塩分濃度は約2.0%と濃口醤油の塩味もしっかりと効いています。
 
麺は自家製の平打中太縮れ手打ち麺。
多加水の熟成された瑞々しいブリッブリの弾力と青竹打ちによる強いコシ、ツルツルの滑らかな麺肌に手揉みによるピロピロとした不規則な縮れが特長。
 
麺の解凍は説明書きにある通り、調理前日からの冷蔵解凍が推奨で、茹でている間も麺には構わず、対流で自由に泳がせて下さい。
麺を解そうと箸で弄ったり混ぜたりすると、麺に傷が付いたり短く切れたりするので、余計な世話は不要です。
 
付属トッピングはほうれん草、ナルト1枚、有明海苔2枚、メンマ3本、チャーシュー3枚と豪華な顔ぶれ。
メンマはコク深くコリコリの食感で、チャーシューは楢炭でじっくり焼き上げた香ばしいモモスライス。湯煎だとギシギシに硬くなるので流水解凍がお勧めです。
 
言わずと知れたとら系総本山の元祖白河ラーメンですね。とにかく麺が命なので、解凍と茹で方には特に気を配って優しく扱いましょう。

15

2025年07月23日

スープは完全無化調で、比内地鶏、TOKYO Xなどの国産ブランド鶏豚のガラと丸鶏を使用したクリアで繊細な淡麗清湯、
醤油返しは自家火入れした生揚げ醤油をブレンド、そこに浮かべるのは丁寧に抽出した濃厚で香り高い琥珀色の鶏油。
塩分濃度は約2.2%と高いながらも強い塩味を感じさせない、カエシと鶏油の緻密なバランス感が光っています。
 
麺はハルユタカ、さぬきの夢など数種の国産小麦粉を使い、加水率やボーメ度など毎日の気温や湿度に合わせて微調整した、
しなやかで滑らかシルキーかつ甘味旨味の詰まった芳醇な香りのモチムチ自家製角刃細ストレート。
 
付属トッピングは豚ロースの低温調理レアチャーシュースライスと豚肩ロースの煮豚スライスが1 枚ずつ、そしてシンプルで雑味のないメンマが2本。
チャーシューはしっとりもっちりジューシーな食感と素材の味を損なわないよう、解凍は流水か体温以下のぬるま湯で。湯煎は絶対にNGです。
 
 
ちなみに飯田商店はより美味しく頂ける盛り付け方と食べ方があり、まず盛り付けの際には1枚目の煮豚を丼中央からやや奥に乗せ、
2枚目のレアチャーシューは手前にずらして並べます。この際、チャーシューの脂身部分を手前に向けるようにします。
 
頂く際は、最初にスープを手前からレンゲで掬う事で、ロース肉の脂が溶け出した最高のひと口目が味わえます。
次に麺も手前から引っ張り出して勢いよく啜る、を繰り返します。
 
すると食べている内にチャーシューの旨味と麺の甘味がスープに溶け出し、醤油のキレが治まって、味わいが徐々に変化してゆきます。
チャーシューを縦にずらして並べ、スープを手前から飲むのは、この味の移ろいを時間差で楽しめるようにという飯田さんの意図的な狙いがあります。(※店主著書「本物とは何か」より一部抄録)
 
なお調理の際は、
・麺茹での湯量(最低でも2リットル以上)
・茹で時間(絶対に指定時間厳守)
・茹で方(箸で必要以上に触れない解さない)
・スープ温度(湯煎にかけすぎない)
・具材解凍(湯煎厳禁)
には特に気をつけて下さい。
可能な限り再現して、世界最高峰の味を体感しましょう。

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